第3話

「玄斗?聞いてるか?」

「ああすまん拓也」

「すっごいボーッとしてたな。」

湊が心配そうに言った。

「いや、まあちょっと、ところであの子誰か知ってる?」

気になりすぎて思わず聞いてしまった。変に誤解されないだろうか。

「ああ春田茜。最近転校してきたらしいぜ。部活のやつが騒いでたけど実物見るのは俺も初めてだ。」

「僕も初めて見るな。」

「へーそうだったのか。」

もっと春田茜のことを知りたい。そう思った。人にここまで興味を持ったのは初めてかもしれない。


「拓也、またそれかよ」

呆れるように湊が言った。

「いいだろ、うめえんだもん」

焼きそばパンといちごミルクが拓也の定番。それ以外を買ってるとこは見たことがない。

「味覚中学生すぎるだろ」

「玄斗だってまたそれじゃねえか!」

カロリーメイトチョコ味とソルティライチを手に持つ僕を見て拓也は言った。

「確かに、玄斗も人のこと言えないんじゃないか?

口の中カラカラにしたいのか潤わせたいのかどっちだよ」

「湊までなんだよ」

2人の猛攻撃に思わず笑ってしまう。

「あそこにいるの、さっき話した春田さんじゃないか?」

湊は指を指すのではなく手を差し伸べるように僕たちの視線を誘導した。

「お、ほんとだ」

バチっ

彼女の顔がハッキリ見えた。そうか目が合ったのか。一体なぜだ。僕の顔には目と鼻と口以外何もついてないはずだが。

「おい玄斗、なに固まってるんだ?」

彼女が立ち上がり黒い艶やかな髪を揺らしながらこちらに向かってきた。


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瓦解 脊椎 @Aluto9973

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