第3話

教室では、新しい顔ぶれも何人か見られた。

女子の間では、新しい男子の誰々君がかっこいいとか、大学を目指すために彼氏と会うのを控えようか等、ちょっとませた話なども飛び交っていた。

友美はこういう時、決まっていつも気まずさを覚える。

「好きな男子いないの?」といった質問も何となくでやり過ごす。

それは多分あの時のフランス人形の思い出が強いのかもしれない。

私が好きな物はきっと優子も好きなのだ。

それがわかっているからこそ、友美は自分から身を引く事にした、男子を見ないようにしたり、恋バナと呼ばれるものから自分を遠ざけた。先手を彼女に譲ることにしたのだ。

それは優子と初めて恋愛の話をした時、それが正しい行動だと思えた。

ある時自分より気が強い性格の優子は「私、2組の田中君のことが好きなの、告白してもいいかな?」

と相談してきた、はっきり言って私はその男子の事を知らなかった。

だからこそ、すんなりと「優子は美人だし振られる事はないよ、頑張って!」

と、応援する事が出来た。

その後彼女から田中君とやらと付き合うようになったと知らされたが、私には関係の無い話なので素直に、おめでとうと言えた。

ところで、彼氏が出来ると優先順位も変わるようだ、自然と彼女と会う時間も減っていった。

そんなある日彼女と田中君が私たちがよく行っていた、移動式というか車そのものがお店になっているタピオカ屋で、楽しそうに買い物をしている所を見てしまった、刹那心臓の鼓動が早鐘を打った。

彼女の横にいる田中君を人目見ただけで自分はこの人に恋をしてしまう、そう思った。

もし、優子より先に田中君を見ていたら、きっと自分は苦しくて苦しくて狂い死ぬほど考え込んでしまっていただろう。

頑張ってなんて口が裂けてもいえなかっただろうし、おめでとうと言う時は血涙を流していたに違いない。そう思うと私は身を引くこと、距離を置く事が1番正しい選択だったのだと心の底から思うことが出来た。

只それと同時に、じゃあ私は一体いつ恋をすれば良いのだろう、優子が誰かと付き合ってから?

それとも一緒にいる生活が終わった時?

でも私には嘘がつけなかった。

次の進路もきっと彼女は私と同じ道を選ぶだろう、それは今までと何ら変わる事はなく、きっと一緒に進んでいくだろう。

私は常に彼女の後ろを追いかける形になっている事に最近気が付き始めていた。


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ふたりぼっち @ashikusao1212

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