第2話

私たちの通う高校は桜丘高校という名前で、校門の外からでも見える大きな桜の木がある学校としても有名だ。

難関高校ということもあり、中学生の2人は、とにかく勉強に時間を割いた。

それでもあの桜の下で写真を撮りたい、その一心で遊ぶことも忘れ勉強した。

そのかいもあり、2人は無事桜の木の下で笑顔で写真を撮ることができた。

初めて桜の木の下に立った時はあまりの大きさに驚かされた。

校門の外から見るのと真下に立つのでは、こうも大きさに違いがあるのか、まさに圧倒されるの一言だった。

そんな友美には忘れられない思い出があった。

いつも2人は同じものを欲しがってしまう、まだ幼かった2人は我慢することを知らなかった。

その日友美は父から買ってもらったフランス人形を、もって優子の家に遊びに行った。

とても可愛らしいその人形を少し自慢してみたい気もあった。

案の定彼女はその人形を欲しがった、今思うと自分もちょっとくらい貸してやればよかったのだが何故か『取られてしまう』そんな気持ちが強く指一本触れさせたくなかった。

初めて2人は大喧嘩をした、人形の右手と左手を引っ張り合い最後には人形はバラバラになってしまった。

バラバラになったその人形を抱きしめ泣きながら家に帰った。

後で彼女のお母さんが一緒に謝りに来たが取り合わなかった。

その頃からだろうか、子供心に好きな物は教え合うが、本当に好きなものは隠すという暗黙のルールが出来上がっていた、そしてそのルールは今でも続いていた。

しかし2人は共通のものを好きになる、隠していてもそれはわかってしまうものだった。

それは仲のいい関係を続けていく上で有利な事でもあったが、それは時として厄介なものとなって2人を困らせた。

友美も優子も女である、恋だってしたい年頃なのだ。そこで同じ人間を好きになってしまう、という大きな壁となって立ちはだかった。

だからこそ2人は暗黙のルールを守ったし、恋愛の話は一切しなかった、いや、出来なかったという方が正しかったかもしれない。

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