第5話 無料化、サブスクで変わる世界




新たな評価制度を提案するにはもう少し皆さんとの意識の共有をしておいてからにしたいと思います。

当事者意識が有ればより耳を傾けて頂けるかと思うからです。


これから話すのは出版業界の多くが当てはまる事になる、と思われる事になります。



例えばここカクヨムで、良い内容の評価を『見える化』出来て、そうした作品をカンタンにピックアップも可能になったとして、それで質の良いラノベが増えて若者にも売れる様になるかと言うと、ここにも構造的問題が立ちはだかります。


一つの例として音楽業界を見て下さい。

シングル曲を作る。

作詩、作曲、スタジオ代、演奏者、

CD製作代、その他諸々で数十~数百万円かかる。


そのCDを昔はレコード店で売ると半分くらいが製作側に残る。それを製作負担をした音楽事務所が手にして初期投資コストを回収、幾らか分け前をアーティストに渡す。多分千数百円シングルCDを1枚売っても百円分位しかアーティストの手に渡らなかったと思う。


これがサブスクやダウンロードの時代になると1曲ダウンロードされて『1円位』しか制作陣に入らない。

10万ダウンロードでも10万円程度。

そこから制作コストは払えない。赤字だ。アーティストへなど1円も渡せないでしょう。

実際には売れないアーティストが殆どだから、もう曲の販売では生活出来ない。


だからダウンロード販売やら印税での生活を夢見る事は無くなった。


無料動画サイトに新曲を部分的でなく全てをアップして、少しでも多くの人にお披露目して、知名度を上げたらライブで稼ぐ。更に握手権(券)などでCDが買えますよ、としてそのCD代で利益を出す。

そういう仕組みに変わった。


それは電子化の波による大変革であった。


書籍の出版業界は必死にこの二の舞にならぬよう、耐えてきた。電子書籍でも紙でも大差ない価格。そしてサブスク方式の拒否……


しかしマンガや雑誌から徐々にそのサブスクの弊害が忍び寄る。それでもマンガは試し読みからの導線で買ってもらえる流れを何とかして作っている。


サブスクでのアニメや映画も、旧作や埋もれた作品を無料のまき餌にして、人気作だけ別料金で儲ける。


―――ではラノベは? 


実はラノベこそ製作コストがかからない。妄想を書き連ねるだけだから。


そのため書籍化クラスの作品が今や幾らでもアップロード済みで、既に無料化が先にやって来た状態で、『書籍化決定後から読めなくなる』というスタイルがこれからもっと増える。


これは小説独特で映画やドラマ、アニメでは有り得ないスタイルだ。

つまり現状がもうほぼ全開放の無料化状態だったのです。


十数年前、二次創作界隈から一次へと移り、実力をつけた皆さんの作品は (文芸界隈は別として) ここのランキング作と遜色無いはずです。


結果として書籍化の話しが来たとしても、無料動画がたまにTVで紹介されバズることがある様に、その時だけ若干広告収入が増えて臨時お小遣いになる感じに似ていて、ラノベの書籍化はこれと変わらない事になってしまった。


余程の売れっ子作家以外、印税で食べて行く夢を見る事は出来なくなって来た。


ただ書いて読んで貰いたかった人、そして作家を目指す人。どちらにも優しい世界を築けないのでしょうか。


今後も書き続けるモチベーションを保つにはどうしたら良いのでしょう。








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その他、様々なサイトの改善案、書き手、読み手の関わり方、そして創作活動の行く末などを俯瞰し、私達がどの様な心構えで行動したら良いかを示して行きます。



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