Letter in a Bottle with Love ~C~

第1話

私はあれからいつも、空を見上げています。


あなたの命を救うことが出来てから、どれだけの時間が経ったのでしょうね。

私とあなたは住む世界も、生き方も違うから、私はあえてあなたに名乗ることもしなかった。


けれど、あなたのように、私の生きる領域にいるだけで、命が危機に晒されるものがあるのだということを、私はあなたとの出会いで初めて知りました。


あなたは私を覚えていないだろうし、私があなたと過ごした時間はとてもとても短いけれど、あなたが私に見せた世界は、とても大きくて広い。


それまでの自分の認識を越えたところへ、あなたは私を連れだした。

知らなかったことを知る機会をくれた。

それだけで、大きな意味を持っていると思うのです。


だって、今でもこうして、空を見上げるたびに、あなたを思い出すのだもの。

あの時、揺らぐ空を砕いて、私の元へ落ちてきたあなたを。


あなたが、再び同じように落ちてくるとは思わない。

むしろ、そうでない方が良いのでしょう。

けれど、私は少しだけ心を浮き立たせています。


また、あの揺らぐ空を砕いて、私の世界を広げてくれる

「何か」が、落ちてくるのではないかって。


これも、あなたの残した、私の中の爪痕。

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