第10話 エレナ・シャドウウィスパー
このエレナ・シャドウウィスパーの話からすると、『魔族』の中にも階級があり、シャドウウィスパー家のようなウィスパーとついた性を持っていることは低級魔族を意味しているようだ。
これは魔力抗争以後、多く存在する人族であるウィスパー家の一部が魔族へ寝返ったことにより分類されたそう。
そのウィスパー家に新たに付けられた性がシャドウウィスパー、ブラックウィスパーなどである。
つまり、元人間であり、現在は人間と『魔族』のハーフということになるらしい。
「で、そのハーフ魔族さんがなんでまた滅ぼしたいって思うのさ? 」
「それはね、エレナのお父さんは魔族部隊の幹部だったの。でも魔族の王であるマルコス・グリモアハートに殺されてね……。 それもただ低級魔族だという理由だけ。低級魔族で迫害を受けるのは平気だけど、家族まで奪うのは許せない……」
それが本当なら辛いだろう。
このまま『魔族』にいたくない気持ちも分かる。
ウソをついてるようにもみえない。
「しかし、なんで俺なんだ? 魔族を倒したからってのは分かるけど、そもそもなんで君はこの街にいるんだ?」
「魔族の王マルコスは、神セレスティアが人間と接触する機会を図っていたの。 それで200年ぶりに神があなたに接触したからこの街にリリスを送り込んだってわけ。エレナはそれにこっそりついてきたの」
神が人間と領域内で会うということは領域内が一時的に不安定になり、敵に侵入されやすくなるらしく、
そのリスクを背負ってまで接触するほどの人間に、魔族側は警戒したってことらしい。
それでエメラルドヴェールの街を壊したらセレスティアとその人間が出てくるだろうと。
実際その通りになったってことだな。
「それでエレナは魔族を倒せるほどのあなたに懸けたいと思ったの……」
「うーん、目的は一緒だし、俺はいいけどティアに相談しないとなぁ」
「やったぁ、ありがとう! 主様♡」
そう言いながらエレナは俺の腕に胸を擦り付けるように腕を絡ませてきた。
やめてくれ、彼女もできたことない俺には刺激が強すぎる……
◇
そう、このエレナ・シャドウウィスパーのせいで俺はこの玉座の間で囲まれ、質問攻めに合っているのだ。
「で、春陽くん? その子の話はわかったけど、結局は魔族なんだよ? 」
俺はエレナがここにいる経緯を全て話した。
そして彼女をこれからの旅に加えようとセレスティアに提案をしているところだ。
「うん。わかってるけど、ある意味この子も魔族の被害者だと思うんだ。それに戦力も多いに越したことはないし」
「じゃあその子が裏切ったら……? 」
この話をセレスティアにしようと決めた時から覚悟はしている。
「裏切ることがあったらこの子は俺が始末する…… そうならないと信じてるから 」
エレナが過去の話をしてくれた時の表情は本気だった。
あの顔がウソをついているとは思えない、信じたいのだ。
それに、俺を頼ってくれている。
期待には応えてやりたい。
「……はぁ。春陽くんがそういうなら……ボクは信じるよ」
ため息をつきながらも結局は味方をしてくれるんだな。
「主様♡ エレナこれからはなんでも言うこと聞きますからなんでもお申し付けください♡ 」
「ちょっと君ー! 人前で春陽くんにくっつきすぎでしょ!」
なんでも……といわれると少しイケナイことが頭に浮かんでくる。
エヘヘッとあざとスマイルをしながら腕を絡めてくるからかもしれない。
いや、自分より見た目が若い子に手を出すだすわけにはいかない……と心の中で葛藤するのであった。
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これで1章は完結となります!
ここまでお付き合い頂きありがとうございました✨️
2章も引き続きよろしくお願いします!
この作品は最終話までストックし終えておりますので、完結まで走り抜けていきます🏃♂️
度々ではございますが、長編2作品目『ハローワークで見つけた冒険者業が天職だった件〜ハズレ職業である武闘家から始まった冒険者人生、最上位職のマジックブレイカーに転職したので駆け上がっていきます〜』も執筆しておりますので、ぜひお手隙の際にご覧頂けますと幸いです🥺
1話はこちら⬇️
https://kakuyomu.jp/works/16818093073943603521/episodes/16818093073944654777
これからも3ヶ月にひとつを目標に長編新作を書き上げたいと思っていますので、ぜひとも作者フォローなどして頂けると嬉しいです🎶
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