中古車置場 🚙

上月くるを

中古車置場 🚙



一月の晦日の暁に期するもの

明けの月星したがへて春兆す


冬霞ねぼけまなこの犬がゐる

冬深し小屋に籠りて犬老いる


春待つや小鳥きよとんと首傾げ

ジャケットの千鳥格子や春近し


コンビニのATMに春日ざし

川沿ひの中古車置場日脚伸ぶ


和食屋のほつけ定食ひじき添へ

天井にサックス鳴かせ春を待つ


平安の切手シートや冬日和

青空に薄紅ぽつと冬木の芽


着払ひ出して安堵や日脚伸ぶ

ほたほたと振袖のごと牡丹雪


冬の果床の塵にも影立ちぬ

未熟なる過去に折合ひ春隣


突き詰めて考へる癖余寒かな

夕飯に餡パンおごる余寒かな


自転車のあかりゆらゆら冬帽子

さやさやと手をつなぎ合ふ寒昴




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

中古車置場 🚙 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ