第11話 クズフォンスが水の魔術師なわけない……わよね? レギーネ視点

 セプテリオン魔法学園へ行く、馬車の中――


 あたしは、激しく後悔していた。


「今日こそ、馬車の中で聞こうと思っていたのに……」


 クズフォンスが「水の魔術師様」かどうかを。


「絶対にあり得ないと思うけど、一応、確かめないとね」

「お嬢様。もしアルフォンス様に聞けないのなら、私からアルフォンス様に聞きましょうか?」

「だ、ダメよ……あたしが直接確かめたいから」


 水の魔術師様の噂は、王都シオングランにも広がっているらしく。


 ヴァリエ侯爵領の井戸をすべて直したという、膨大な魔力を持つ魔術師のことを。


 王都にいるリンフィアお姉様が、手紙で知らせてきた。


「お嬢様、聞きましたか? 先日、ヴェリエ侯爵領の盗賊事件を……」

「ええ。水の魔術師様が盗賊団をみんな捕まえたって」


 1ヶ月前、ヴェリエ侯爵領で起きた盗賊事件。


 元冒険者が盗賊団を作って、街の商人を略奪した。


 盗賊団には元Aランク冒険者がいて、ギルドも制圧に苦戦していたそうだけど、


「水の魔術師様が、剣で盗賊団を倒したのよね。しかもお一人で」


 ギルドの精鋭たちも苦戦した相手を、たった五分で倒したらしい。


「ギルド幹部たちが、水の魔術師様を探しているようですよ。ぜひSランク冒険者として迎えたいそうで……」

「さすが水の魔術師様! 魔法も剣も才能があるなんてすごいわっ!」


 あたしは写し絵を見ていた。


 魔法で紙に映像を写す魔道具。


 水の魔術師様が戦う写し絵が、領地に出回った。


 もちろんファンのあたしは、市場で10万ゴールドで写し絵を買った。


 残念ながら、横顔が少ししか見えないけど。


「お嬢様、その写し絵が好きですね」

「うん。とっても素敵だもの」

 

 クズフォンスが、水の魔術師様なわけがない。


 たしかに、最近どんどん痩せてきて、


 水の魔術師様に少し似てきている。


 横顔を見たら、水の魔術師様に似てる……?


 (いやいや、クズフォンスが水の魔術師様……そんなわけないわよね)


「そう言えば、アルフォンス様もギルドで剣の鍛錬をしていたらしいですよ」

「どうせ冷やかしの遊びでしょう。きっと1日でやめたに決まっているわ」


 あの怠惰なクズフォンスが、毎日、ギルドで剣の鍛錬なんて続くわけない。


 努力、という言葉から一番縁遠い男だから。


「でも、アルフォンス様が剣を持つ姿を想像すると、水の魔術師に似てるように思うのですが……」

「えっ? そうかしら……?」

「お嬢様も、少し想像してみてください」


 あたしは目を閉じて想像する——


 痩せたアルフォンスの姿。


 左手に、剣を持って……


 (…………!)


 まさか。


 いや、そんなはずはない。


 でも、やっぱり。


「かなり似てる……わね」

「でしょう? もう9割アルフォンス様ですよ」

「…………そうね。きっと学園でわかるわ。あり得ないと思うけどね」

 


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※ 序章完結です!

次回、いよいよ主人公と出会いますっ!


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