第23話 新生活より

 結局、歯科病院まで到着。

 柑菜の家でご飯をご馳走になることとなった。


 イチゴ歯科というのか。


 外観は、そのまま病院だ。



「こっちねー」



 柑菜の案内を受け、正面玄関ではなく裏の方へ向かった。そっちには玄関があった。なるほど、そこが家になっているんだな。


 裏へ通され、ついに柑菜の家に。



「お邪魔します」

「おじゃましまーす」



 俺も理早も少し緊張しながらも、家の中へ。

 さすがに広くて綺麗だな。


 少し病院のようなニオイも感じて、妙に懐かしい。あぁ、そうか病室に近い。



「どうぞ、スリッパ」

「ありがとう」



 スリッパに履き替え、リビングへ。

 テニスコートくらいあるんじゃないかと思うくらい広い空間があった。なんだこりゃ、パーティ会場に来ちまったのか……!?



「わぁ、凄いね……お姉ちゃん!」

「そ、そうかな。普通だよ」

「さすがお医者さんの娘だね。うらやましい~」



 理早の言う通りだ。

 思えば、柑菜はいいとこのお嬢様なんだよな。



「さっそく部屋を案内するね」

「部屋って……」

「海里くんと理早ちゃんの部屋だよー」


「そんなに貸せる部屋があるものなの……?」

「うん、空いてる部屋がたくさんあるから」



 マジカヨ。

 凄すぎんだろう。

 ただただ驚くばかりだ。


 二階へ続く螺旋階段を上がり、これまた広い通路に。

 そこを真っ直ぐ歩き、奥の部屋へ辿り着いた。



「マンションみたいな規模だな」

「こっちを使って」


 中へ入ると広々とした個室があった。

 なんだろう、高級ホテルにしか見えない。



「すげえ綺麗だな」

「でしょー。自由に使ってね。理早ちゃんはこっち」



 二人は隣の部屋へ。

 もう片方も似たような構造らしく、自分の部屋と大差はなかった。


 これを一人で使っていいとか、最高すぎるな。


 冷房に冷蔵庫、電子レンジ。パソコンや本棚、大きなベッドも完備。凄すぎんだろう……!



「ね、ねえ、お兄ちゃん。お姉ちゃんの家……ヤバすぎるって」

「そ、そうだな。さすがだよ……アハハ」



 ホント、驚きしかない。



【一時間後】



 あれから荷物を整理して、俺はリビングへ。

 理早の姿はなかった。


「柑菜だけか」

「あ、海里くん」


 ソファに座る柑菜。俺はその隣に腰掛けた。


「招いてくれてありがとう。俺、家ないからさ……」

「うん、これからは自由だし、ずっと一緒だね」

「ああ、これからは俺が恩返ししていく」

「隣にいてくれるだけでいい。わたしが養ってあげる」

「マジか」

「だって好きだもん」


 頭を預けてくる柑菜。

 そうだな、そうだった。


「俺も柑菜が好きだよ」

「嬉しい」


 自然と唇が近づく。

 柑菜から求められ、俺は自らも彼女の唇へ。


 ようやく願いが叶った。


 キスをして、俺は気持ちを伝えたんだ。


 ずっと不幸ばかりかと思ったけれど、この瞬間からは違う。


「学校、通おうかな」

「どうして?」

「柑菜の制服姿を見てみたいから」

「そうだね。学生生活は今の内しかできないし、それもいいかも」

「そうだろ。理早にも話してみるか」


 幸い、全員同じ高校のようだし、これからは普通に高校生活を送っていくのもアリかもしれない。


 少しずつ前へ進んでいこう。


 俺は柑菜を抱きしめた。

 今はこれだけで十分だ。



【ありがとうございました】


これにて完結とさせていただきます!

気が向いたら続きを書くかもしれません。

新作も追っていただけると幸いです。


クラスメイトの美少女と無人島に流された件

https://kakuyomu.jp/works/16817330648641803939

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

隣の席のギャルが優しい 桜井正宗 @hana6hana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ