2度目の人生

ものすごく、熟睡した。

目を開けると、朝陽が差し込む部屋で、猛烈な清々しさに包まれた。

「ん?ここはどこだろう?俺死ななかったのか?」そう思った。

すると程なくして、20代の夫婦と見える人たちがぼくを覗き込む。

「あらー、可愛いー、みてー」

と70代の私に対する失礼極まりない言葉を浴びせる。

「本当だなー、元気な男の子だなー」とまたしても、舐めた事を言ってくる。

この人たちは誰だ、そう思いながらも、記憶のどこかに見覚えのある顔のような気もしていた。

しばらくすると、また別の人が現れ、僕の顔を見る。

「名前は決めたのか?」

「うん、あきおにします。」

そんな会話が聞こえた。

あきお?

昔、仲の良かった友達と同じ名前だ。 

このあたりから異常な違和感を感じ始める。何かがおかしい、見ている光景、体に力が全然入らない、言葉が話せない、など頭の中の混乱が、ピークに達している。

そんなとき事態は急変した。

見ず知らずの若い女性がおもむろに、上半身を露わにし、あろうことかぼくの顔めがけて推定Eはあろう、モノを近づけてくるではないか。混乱のあまり顔をそむける。

「最初だから嫌がるねー」そんな会話が聞こえる。

しばらくして、ぼくは諦めてありがたくそのモノに口付けをした。


数日間、考えた。

これは夢か、何なのか。天国なのか。

1つわかったことは、ぼくは赤ん坊で前の自分ではないらしい。

理解は出来ないが、今の状況は決して悪いものではないと感じていた。

しばらくして、別の場所に連れて行かれた。

車内から見える景色にどこか懐かしい雰囲気を感じていた。

家のようなところに着くと、そこは新居の香りが漂う、豪邸のように感じた。

寝かせられるベッドも、往年の自分のベッドをはるかに凌ぐ、寝心地のマットレスと絹のような掛け布団がぼくを包み込んだ。

この頃には、状況が理解はできないが、楽しみ方を覚え始めた。

綺麗でスタイルの良い、女性が比較的頻繁にぼくを包み込み、モノを差し出してくれるからだ。「よく母乳を飲む子だねー」なんて言われていたことは言うまでもない。

ぼくは、あきおと呼ばれ、みんながよくしてくれた。母親と父親らしき人たちは何でもしてくれた。この頃から夢かもしれない今を楽しもうと思った。

数年が経ち、歩けるようにもなったころ、

ぼくはあることに気がついた。

「この家知ってる、来たことある」

名前はあきお、、見覚えのある綺麗でスタイルのいい女性、まさかとは思ったが、それ以上深く考えるのはやめた、きっと夢だから。

それからは幸せだった。おいしいご飯を食べさせてもらい、ブランドの洋服を与えられ、長い休みは家族で旅行に行く、この家はお金持ちだと確信していた。

また数年経ち、隣の空き地に小さい家が建ち、家族が越してきた。

挨拶は母が済ませたらしいが、「あきおと同じ年の男の子がいるみたいよ、今度遊んであげたら?」と言われた。若干の上から目線は気になりながらも、快諾した。

数日後、外で遊んでいる、例の男の子を見かけた、サッカーボールをアホみたいに追い回している。

「こんにちは!」と話しかけ、その男の子を見たとき、ぼくはゾッとした。。

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