第一章 天才薬師のヴァイオレット④
三日後にヴァイオレットの実家に
気を
「シュヴァリエ様、まだ
彼はロン・ゲルハルト。
「……仕方がないだろう。ずっと好きだったヴァイオレット嬢が求婚を受け入れてくれたんだ。
シュヴァリエは破顔した表情を
そんなシュヴァリエに、ロンは目を細めてフッと
「まあ、そうですね。それにしても、案外すんなりと求婚を受け入れてくださって良かったですね。ヴァイオレット様ならば、婚約解消された私では……と断るのではないかと思いましたが」
「ああ。そう言われそうな空気を感じたから、先に手を打った」
「え? なにをしたのですか?」
目を見開いているロンに対して、シュヴァリエはしれっと言い放った。
「皇帝に即位したものは、初めて口付けを交わした者しか妻にできないと。断られたら俺は一生独身だと言った」
「は!? あの時耳元で
「そう伝えようかとも思ったんだがな──」
そんな彼女に興味を持ち、
ダッサムに強い言葉を
王太子妃候補として
好きだと自覚するのには、それ程時間はかからなかったと
「ヴァイオレット嬢は、なにも悪くないのに婚約破棄をされて、この国の王太子妃としての未来を奪われた。今まで必死に努力し続けてきたのにだ。きっと傷付いているだろう。それに、もしかしたら、あんなクソ男へも、多少の情はあったかもしれない。それならなおさら深く傷付いているかもしれないだろう? そんな状態の彼女に俺が愛を囁いたって、負担になるだけだと考えたんだ」
「……シュヴァリエ様」
「だが、やっと
他国の王太子の
だから、何度も
けれど、捨てるどころか、外交の際や、パーティーなどでヴァイオレットと会うたびに、好きだという気持ちは
シュヴァリエは、どんな手を使ってもヴァイオレットを自身の妻にしたいと願った。
「だから、ヴァイオレット嬢には、
「それなら、今後は伝えないおつもりなのですか? シュヴァリエ様が、ヴァイオレット様のことを深く愛していることを」
「ヴァイオレット嬢の傷が
そう言ったシュヴァリエの
けれど、その
「私としては、さっさと本当の思いを伝えたほうがヴァイオレット様にとっても、シュヴァリエ様にとっても良いと思いますがね」
「ん? なにか言ったか?」
「いえいえ、なんでもございませんよ」
「……? そうか」
ロンの言葉に
「ヴァイオレット嬢……俺は早く、貴女に愛していると伝えたい」
接吻したら即結婚!? 婚約破棄された薬師令嬢が助けたのは隣国の皇帝でした 櫻田りん/角川ビーンズ文庫 @beans
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