月の欠片 / 野栗 様
作品名:月の欠片
作者名:野栗
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330665585619339
ジャンル:現代ドラマ
コメント記入年月日:2023年10月25日
以下、コメント全文。
この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。
作品の方を拝読致しました。
お題企画への回答としては、完璧な作品だったと思います。内容を詰め込みすぎであることは否めませんが、制約の中で最適解を出されたことは窺い知ることができました。ひとまず、良かった点から述べていきます。物語は簡潔ながらも、それでいて人間関係の核心に迫っていた印象です。作中においては、再会を果たした二人の間にあったものはすべて虚構であり、投票依頼の口実に過ぎなかったという風に。なにかを期待して、呆気なくそれを裏切られる様が写実的に表現されていたかと思います。主人公が勇気を振り絞って行動に出たことが、裏目に出たのは皮肉が利いていて良かったです。
続いては気になった点について。
企画用作品ということを抜きにして考えると、本作は読者に解釈を委ねる部分が多いです。文字数の制約が一番の要因でしょうが、全体的に駆け足で話が進み、オチまで書き切るためにあらゆる描写を削ぎ落しているように見受けられます。投票依頼は「集合ポストのチラシ」と「選挙カー」で匂わされている一方、見せ所である「淋しい人間」の描写が端折られていたのは残念です。魔法少女や鏡の話を圧縮して、こちらの描写に注力されても良いのではと思いました。どうして淋しいのか、具体的にどんな感情が込み上げてくるのか。そういった部分が補強されれば作品の主題と、それが招く虚無感が読者により伝わりやすくなるのではと考えます。
以上になります。
作者様の創作活動の一助となれば幸いです。
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