【短編集】歪んだ君は美しいから僕は好き。/ 藤樫 かすみ 様

 作品名:【短編集】歪んだ君は美しいから僕は好き。

 作者名:藤樫 かすみ

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817139557960199359

 ジャンル:現代ドラマ

 コメント記入年月日:2023年10月22日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。


 二万字ほど拝読致しました。

 作品としては高水準に収まっていた印象です。フェティシズムを盛り込んだ内容に、それを薄気味悪くも蠱惑的に表現する文章。話の落としどころも綺麗で、そこまで負担を感じずに読み進めることができました。批評という観点で読んでいなければ、間違いなく太鼓判を押していたことでしょう。総じて作品のレベルは高いので、あとは内容が好みか否かで読者の評価が分かれる作品なのではないかと思います。


 気になった点は一つ、物語のワンパターン化です。

 ここまで読んだ三篇にいえることですが、どれも構造は類似しています。主人公は人間的な弱さとフェティシズムを併せ持っており、相方はそれに応えるフリをしながらも主人公の一枚上手をいく構造です。細かな味付けは違えども、分解すれば本質は共通していると考えられます。もちろん物語のクオリティは高いのですが、メタ的にみればワンパターンだともいえるでしょう。それに伴い、フェティシズムの表現が浅くなっているのも惜しい部分です。


 一線を越えられていない、常人に理解できる範囲に留まっているといいますか。このことは一長一短ではあるのですが、やはりこのテーマを扱うのなら鋭さがほしいところです。読者の予想を簡単に裏切ってしまったり、歯止めの効かない主人公を書いたりと。続く話は読んでいないので断言できませんが、作者様は描写を自制しすぎているのかもしれません。そのために作品が、良くも悪くも読みやすいものになっています。いっそのこと、さらに粘度を高めてもいいと思います。人間ならではの欲求の煮凝りや、矛盾を無視した独善的な愛の形など。文学的な暗喩や直情的な表現方法をさらに模索されると、作品の特異性やレベルの高さが際立つことかと思います。


 最後に、気づいた範囲で誤字脱字の報告を。

【水に沈める】より:僕と彼女が離さない限りは、→話さない

         :僕俯いて、彼女を視界にいれないようにした。→僕「は」

         :そこに懇親の力を込めて、締める。→渾身

【花火に鳴き喘ぐ】より:私はそそれに「始まっちゃったねぇ」と→私はそれに

【天使を空に堕とす】より:罪からは逃れ慣れない。→逃れられない


 以上になります。

 作者様の創作活動の一助となれば幸いです。

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