スクラップヒューマン / 鍋谷葵 様

 作品名:スクラップヒューマン

 作者名:鍋谷葵

 URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330664538869435

 ジャンル:現代ドラマ

 コメント記入年月日:2023年10月11日


 以下、コメント全文。


 初めまして。

 この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。


 作品の方は一通り拝読致しました。

 個人的には非常に面白い作品でした。好みの要素がこれでもかと詰まっており、久しぶりにカクヨムで面白い作品に出会えたと思っています。主人公の鬱屈した性格や諦観をはじめ、孤独や皮肉など。果たしてタイトルは、誰のことを指すのか。読了後は、そんな勝手な考察に耽っていました。すべて作者様の意図されたことなのかはわかりませんが、読み解き方によって主語やニュアンスの変わってくる表現が多く、読書そのものが楽しかったです。人によっては「グダグダと堂々巡りの作品だ」と思うでしょうが、それは単純に好みや作品ジャンルに対する理解の差から来るものでしょう。まあ、そうした価値観の話はさておき、表現の提案(作品のブラッシュアップ)として一つだけ提案させていただきます。


 作中での時間経過に伴って、主人公の内面の露出度を変えていくのはどうでしょうか。作中では淡々と持論が展開されていき、諦観とも希望とも似つかない感情の発露で締め括られます。これ自体は構わないのですが、現状では中弛みのようなものが感じられます。ひとえに主人公の感情が起伏に乏しいためです。淡々と話が進む一方、どうにも主人公の内面が見えないといいますか。良くも悪くも人間味の欠落した人物になっています。ですので、もう少し内面を深掘りしてもいいのではと思いました。たとえば持論の中に葛藤を挟んだり、畳にスマホを放る場面では放り方で感情を表したりと。あとは最初に述べたように、日が沈むにつれて自嘲気味な人間になっていくなど。そうした細かな表現が充実すると、作品としての面白味や人物にさらに厚みが出るのではと思いました。


 最後に、目についた範囲で誤字脱字の報告を。

 とはいえそうした住居に住まざる負えない状況もある。→住まざるを得ない

 自我を忘れるほど熱心出来るものが人間には作れるのだろうか。→熱中

 私は労働忌避者の他ならない。→労働忌避者「に」他ならない

 生活のほとんど私を盲目的にさせるもののである。→ほとんど「は」、もの「の」は不要。

 価値観が伝わると思っているのは傲慢の他ならないのだから。→傲慢「に」


 以上になります。

 表現の拡張について、ご一考いただければ幸いです。

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