ハイヤーセルフ

よう!俺はハイヤーセルフだ。

日々人間の行動のお手伝いをしている。

運転中の事故防止、睡眠中の生命活動、おかずのメニューの閃き、引き寄せの法則の手伝い………。


ありとあらゆる低次元の自分の手伝いをしているわけだ。

つっても、低次元の自分と感情は同期させていない。

同期なんてさせたら成功体験ばかり、積ませてしまう。

メタ認知というより、ゲームのキャラを育成している感覚だ。


俺たちにつながる鍵は感情や理性を超えたものだ。

情熱、集中力、恍惚エクスタシーとでもいっておこうか。

100%の状態を無我の境地ゾーンという。


無我の境地ゾーンとまでいかなくても、プロスポーツ選手なんかは競技や練習に夢中になっている。

あれが最も人の霊性を向上・成長させる。

というより、俺らとのつながりが強くなる。


今回の俺の担当する男はかなりのトラブル体質。

女子とのラッキースケベからの鉄拳制裁は当たり前。

テストのヤマは外れるわ、帰り道にカツアゲに合うわ、毎日さんざんな目に遭っている。

まだ高校生にもかかわらず、週に1回は犯罪組織からの暗殺されそうになる。


おっとまたあの野郎は事件に巻き込まれそうになってやがる。

んじゃ、今日も仕事だ。


どうやら毎度同じように犯罪組織から命を狙われているのである。

すげーよな。ここまでくると天命ってやつだな。

しかし、これにもちと訳がある。

一時期あいつを犯罪組織に入れて理不尽なトラブルに巻き込ませて、そのまま壊滅させてやったことがあった。

何回か繰り返していくうちに「奴は一流の公安警察だ」という見事に歪曲された噂がたつようになった。


そんなわけでこちらにもちと責任がある。

長話しすぎたな!

そんじゃ、今日も仕事してくるわ!


お前らは自分のハイヤーセルフに迷惑かけすぎるなよ!

またな~~~。

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SF短編集 仲沢喜祐 @uegao

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