神々の宴

 そんな大層な話ではありませんが。


 シンゴという友人がいまして。インド人です。その辺の詳細については別エッセイ「頼むからほっといてくれ・シンゴ回」を読んでいただければありがたく。

https://kakuyomu.jp/works/16817330667997852185/episodes/16817330668055721441

 

 宗教上、酒は飲めるのか?と尋ねたら「No problem」と言うので、我々は早速酒盛りをすることにしました。

 シンゴがインドビールを買ってきて、乾杯します。全て走る車の中の出来事です。シンゴはガイド兼運転手です。大丈夫でしょうか。


No problem!


 ハンドルを握りながら、完全に後ろを向いたシンゴが叫びます。


前見ろ、前。


 神々のご加護があるから大丈夫なのだそうです。嘘に決まってますが、アルコールに冒された脳味噌では、英語で上手く反論できません。


 飲み終わった瓶をどうしようか迷っていると、シンゴが手を伸ばしてきて、瓶を奪い取りました。彼はそれを、走る車の窓から無造作に投げました。


うぉぉぉい!!

No problem!!HAHAHA!!

問題だらけだよ!!


 思わず日本語で叫びました。のどかな田舎の風景が広がります。牛が歩いています。ラクダも歩いています。猿や犬もいたかもしれません。

 何かに当たった可能性は低かったかもしれませんが、一応、調和と秩序の国・日本で育った私はとても驚きました。


 ああ、神々のご加護とは一体……。

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