3/14 感謝と仕返しのホワイトデー
「これでいいかな?」
今日は3月13日。ホワイトデー前日である。そして僕は何を隠そう、彼女からバレンタインにチョコを貰っているのだ!だからそのお返しの為、僕はとあるアクセサリーショップにて、ネックレスを手に取っていた。
緋夏はデートをする日なんかはそれとなくアクセサリーをつけていたりするので、こういったネックレスは意外と気に入ってくれるんじゃないかなという淡い期待の元、僕はその商品をレジに通す。
なかなかに高めな金額だったが、これで緋夏の笑顔が見れるのなら安いもんだろう。なんて考えながら僕は帰路についた。
そのまま明日を楽しみにして、僕は眠りにつくのだった。
次の日、放課後
「緋夏〜、いるー?」
僕は緋夏のクラスの扉の前で緋夏の事を呼んでいた。するとすぐに僕に向けて手をふる彼女の姿があった。
僕も少し微笑み彼女に手を振り返す。そうして数秒間お互いに手を振った後、緋夏はスマホを手に取った。何をしているのだろう、と考えていると不意に僕のスマホが震える。緋夏からの連絡だった
『なんで教室入ってこないの?』
『ちょっと、恥ずかしい』
『やっぱ柊くんって恥ずかしがり屋だよね〜』
『うるさいうるさい』
『はいはい。でも入ってきてくれないと私どうすればいいのかわかんな〜い』
『うぐぐ…』
僕は一度深呼吸をした後、意を決してその教室に一歩足を踏み入れる。そしてそのまま緋夏の元へ。
うう、周囲からの視線が痛い。特に一部から刺すような視線が来てる。なんて考えていると、急に僕の頬を緋夏が両手で包み、僕の顔が緋夏の方に向けられた。
「ふふ、柊くんってやっぱかわいいね」
「うるさい」
リア充を見守る視線と恨んでいる視線の2つがあってメチャクチャに怖い。…とりあえず
「緋夏、ちょっとついてきてくれ」
「はーい」
緋夏はそう言って荷物をまとめた後、僕にバックハグしてきた。
「いや、おい。ここ教室だぞ!?」
「声でかいよ柊くん」
「なんで緋夏はそんなに平気そうなんだよ…」
「だって特に気にすることないし〜」
「…とりあえずさっさとここ出るぞ。視線が怖すぎる」
そういって僕らはそそくさとその場から逃げるように去っていくのだった。
少し歩いて、バレンタインのときにも使った空き教室に僕らは入る。数歩歩いたところでまた緋夏が後ろから抱きついてきた。
「そんなに後ろから抱きつくの好きなのか?」
「だって柊くんの背中すごく安心できるんだもん」
この子はどうしてこんなに恥ずかしいことを平然と言えるのだろうか。
「…とりあえず、バレンタインのお返しを渡そうと思ってな」
僕がそう言うと緋夏は少し微笑みながら、
「一体どんなものを用意したの?」
「正直なにかお菓子にしようと思ってたんだけど、生憎と作る技術もなければ材料もなかったんでな。小物にしたよ」
僕はそう言ってカバンの中から一つのラッピングされたものを手渡した。
「柊くん。これもう開けちゃっていい?」
「いいよ」
僕がそう言うと緋夏は丁寧にそのラッピングを開け、中身を取り出す。そして
「わ、わ!え、嘘!?」
緋夏は中身を見るなりものすごく驚いていた。そして
「柊くん!ほんとにありがとう!」
そう言いながら緋夏は思い切り抱きついてきた。
「ど、どうしたそんなに。そんなに嬉しかったの?」
「だってだって、柊くんからのプレゼントだし、それに…」
一呼吸置いて、緋夏は
「このネックレス。私買おうかすっごく悩んでたやつなんだ」
そう言いながら再度ネックレスを見てはにかむように笑い、
「柊くん。ほんとにありがとう!一生大切にするね!」
「どういたしまして。気に入ってくれたなら買った甲斐があったよ」
そして、緋夏はネックレスを袋から取り出し、僕に手渡し、そして無邪気な笑みを浮かべながら
「せっかくなら、柊くんにつけてほしいな」
「…ッ、はいはい」
なんだこの子、天使か?そして僕はそのまま手渡されたネックレスを緋夏に着ける。
「やっぱり。すっごく似合ってるよ」
「…ありがとう。ずっと、大切にするね」
そう言って笑った緋夏の笑顔がとても眩しくて、心の底から大切にしたいと思ったのだった。
クリスマスイブの奇跡 杜氏 @Ululun
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