第10話 加入者
100万年ぶりの新規加入者だ。4番目の銀河連邦構成員だ。正直、今回もダメかもしれないと思っていた。可能性のある星々の近くに配った、加入申込書。100万枚くらい。そのうち、申込書に接触できたものが、1万枚程度。そのうち全てのピースを集めることができたのが、100くらいだ。この辺のハードルが高い。みんなで協力して集めないといけないのに、それぞれで、ピースを囲ってしまうのだ。今回も、そうした事態になりそうだった。
ピースを全部集めても、結局、最初のページに署名をしてもらえないのが、90だった。つまり、次のページに行けたのが10というわけだ。ここに署名できない理由は様々だ。一番多いのは、この加入書を争って、取り合った結果、またバラバラにしてしまうことだ。その過程で、このピースを集めた種族の多くは滅びるか、えらく数を減らしてしまう。
1ページ目に書かれていることを全く理解できない事例は、意外に少ない。5つくらいだ。ワープ工法とか、亜空間通信とか、ちょっとためになる技術を枠外に書き込んでいる。だから、大概はこの時点で、我々に接触してコミュニケーションが取れる様になるのだが、それに至らない連中だ。今回も、これに当たるのかと考えていたが、最初のページに署名してもらえた。正直、コンタクトなしで署名した初の例かもしれない。まあ、2ページ目が開ければ、重要な部分は、だいたい読める様に書いてあるつもりだった。でも、今回は、それでもこちらに、コンタクトをとってこなかった。亜空間通信とかの専門用語が、難しすぎたのかもしれない。いや、設計図を飾りかなんかと思ったのかな?
最後のページに署名して、扉が開いたのが、今回を含めて3つめだ。本当に嬉しい。ただ、過去の2例は、積極的に関わりを持てそうな段階で、いなくなってしまった。我々が与えた、技術をうまく使いこなせせず、自滅してしまった。残念でしょうがない。どうしてこうなるのか。
今回は、それらとも違う、せっかくコンタクトを取れる様になったのにコミュニケーションが、全く進まないのだ。我々が、言っていることが、片言ぐらいでしか理解できないようだ。もう100年近い。ならば書面でと思って、書物を与えて見るが、それも判読できない様だ。正直もどかしい。新たなピースをあたえたり、署名を書き換えることも考えたが、それを作る技術は、遠い過去に置いてきてしまった。今の、ピースの自動翻訳機の機能でしかやり取りしかできない。ほんと、もう少し、自分達に分かり良い言語で署名すればよかったのにと思う。この星で幅を利かせている機械語にでもしておけば、もう少しマシだったろう。
ヒエログラフの他の言語への当て字で署名してある。
署名 yasunariosamu @yasunariosamu
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