自称勇者ニナコ、勉強は嫌なので楽しいコトを国民に広めようと思います
@empty_shumikatu
学園人気者ニナコ、国が無理ならまずは学校から変えようと思います。
ニナコ、流行りの異世界転生をする。
平川
その日は三年ぶりに友人のメイに会える嬉しさで集合より30分早く着いた。メイが来るまでは暇なので、ゲームのイベントを進めていると、遠くから猫の声が聞こえた。よく見ると猫が道路の真ん中でフンをしていて、今にも轢かれそうだった。
——道路の真ん中でするとか度胸ありまくりでしょ!?でも轢かれて血まみれの猫を助けなかったがために推しが来ないのも勘弁。
頭より先に体が動いていた。全力で走ってやっと猫の元に着くと思っていたら、急に体制が崩れた。チラッと見えたがバナナの皮に滑ってコケたのだ。
——まずいまずい! このままだと猫のフンに顔ダイブしながら車に轢かれて死んじゃうよ! そんなの絶対嫌だし、死体が猫のうんこまみれの臭い女になっちゃう〜最悪手についてもいいから顔にダイブは避けたい……。
なんて考えていたら、猫が私の背中に乗っかってきたのだ。落下スピードも増し、回避することは不可能だった。
「フンにダイブは…無理。」
車はギリギリのところで止まったが、
●〇●〇●
「ん…ここどこ?」
目が覚めると、天井に貼られた難しい数式と"目指せ王立ウィズドム学園"と書かれた紙で部屋の辺り一面が覆わられていた。
——病院にしてはカオス。ここは誰かの家? イギリスならともかく日本って王様いなくない? それより、私の手こんなに小さかったっけ? それにいつもよりもはっきり文字が見える……ま、まさかこれが流行りの異世界転生って奴ゥ!? きっと超絶美少女のチート能力満載、様々なタイプのイケメンにモテまくりなんだろ〜な。順風満帆な人生スタァート!
この部屋には鏡が無かったので、自分の姿が見れるものを探し、近くにあった手鏡で自身の姿をじぃーっと見た。
「ちょい可愛いレベルだけど、髪とか目の色はどタイプなのと視力は戻ってるので良しとしよう。そういえばこういう時は『ステータスオープン』とか言えば出そうなはずなのに出ない。まさか魔法が無いタイプの異世界ってこと?しょぼーん」
——まぁ来てしまったものはしょうがないし諦めるとして、この部屋の壁や天井、まるで自称進学校で学歴重視な毒親の子の部屋にありそうな洗脳感。この体の子は小学生くらいだけど中学受験でもするのかな?それにしたってこれは酷いような……
この体の元の持ち主を哀れんだ。この先どうしようか悩んでいると、ガチャっとドアが開き、男は驚いた顔でこちらに駆け寄った。
「ニ、ニナコ!目が覚めたのか。父さんのことわかるか?母さん、ニナコが起きたぞ。」
「本当なの?ニナコ、可愛い私の子。無事でいてくれてよかったわ。あなた、知恵熱で一週間も寝込んだのよ。」
今世の名もニナコで楽だなぁとか私は知恵熱出したことないけど知恵熱で死ぬこととかあるんだなぁとか考えていると、父親は私の手を握って、
「よかったな、これで明日の王立ウィズドム学園の試験に間に合うな!」
——ちょっちょっと待って。王立ウィズドム学園に入学しようとするのは分かるけど、明日!? 娘ぶっ倒れたのに正気!? なんにも分からないのに試験受けろは無謀にも程があるわ。なんとかして明日に試験を受けれないようにしないと。えーと……
「お父さん、実は前のことががごちゃごちゃしてて、色んなこと忘れちゃった。ここってどこ?お父さんが言ってる王立ウィズドム学園って何?試験って何をするの?」
「そうだったのか!後遺症があることも考慮出来たはずなのに、父さん気が利かなくて悪かったな。いいか、ここはノーレッジ王国にあるニナコと母さんと父さんが住んでいる家だ。ノーレッジ王国では勉強至上を掲げていて、別名知恵の国と呼ばれている。王立ウィズドム学園はノーレッジ王国にある世界で一番難しく、賢い人が集まる凄い学校だ。この学校を卒業した人達はみんな将来優秀な人として活躍しているんだぞ〜。ニナコが受けようとしてるのは初等部だから、読み書きと計算が出来れば合格なはずだ。年齢が上がるとどんどん難しくなるらしいから今のうちに合格して特待生になろうな。じゃないと庶民で高額受験料はキツイからな……」
それなら受験しなければいいのではと思ったが、言ったら怒られてしまいそうなので言わないことにした。
ニナコは大嫌いな勉強をしなければならないショックで頭がカボチャになった。
自称勇者ニナコ、勉強は嫌なので楽しいコトを国民に広めようと思います @empty_shumikatu
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