枕草子 ようじょ語意訳

麻倉 じゅんか

春はあけぼの

【原文】

春は、あけぼの。


やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。



【現代語訳】

春といえば、夜明け(がいい)。


だんだんと白くなってゆく山際の空が、少し明るくなって、紫がかった雲が、細くたなびいている(のがいい)。



【幼女語意訳】

あのね、春は、おひさまが登るときがいいな〜って。


だんだんと白くなっていくお山のふちが、すこぉし明るくなって、ちょお〜っとむらさきっぽくなった雲さんが、ほそく流れていくのがいいの♡




【原文】

夏は夜。


月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。


また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。


雨など降るも、をかし。



【現代語訳】

夏といえば、夜(がいい)。


月(が満月)の頃は、言うまでもない。


(月が無い)闇夜のときも、蛍が多く乱れ飛んでいる(のがいい)。


また、ほんの一匹二匹が、ほのかに光って飛んでいるのも、趣がある。


雨が降っているときも、趣がある。



【幼女語意訳】

夏は夜がいいかなぁ。


お月さまがまぁるい頃はモチロンなんだけどねっ!


月がない まっくらな時も、ホタルたちがほんわりぽぅっと飛びちってていいんだよ。


それにね、ホタルが1,2ひき、ふんわり飛んでるのもかわいいよね♡


雨がふっている時も楽しいの♪




【原文】

秋は、夕ぐれ。


夕日のさして、山のはいと近うなりたるに、烏(からす)の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ、三つなど、飛びいそぐさへ、あはれなり。


まいて、雁(かり)などの列(つら)ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。


日入りはてて、風の音(おと)、虫の音(ね)など、はたいふべきにあらず。



【現代語訳】

秋といえば、夕暮れ(がいい)。


夕日が(はなやかに)刺して、山の端にぐっと近づいたころに、カラスが、巣に帰ろうとして、三羽四羽、二羽、三羽と、飛び急いでいる様子までも、心がひかれる。


まして、かりなどが列をつくって飛んでいる様子が、とても小さく見えるのは、たいそう趣がある。


日が沈んでしまって、(聞こえてくる)風の音や、虫の音なども、また言うまでもない。



【幼女語意訳】

 秋なんかは、夕ぐれだよね〜。


 キラキラした夕日が、山のフチに近づいたころにね、カラスがおねんねするばしょへ行くのに、3わ4わとか、2わとか、3わとかならんで、いそいでとんでるのだってジ〜ンとするの♡


 それどころか、カリさんがおきょうぎ よくならんでとんでるのが、すごぉくちっちゃく見えるのって、とぉってもかわいらしいの!


 お日さまが沈んじゃってからきこえてくる風の音やムシさんのこえなんかも、やっぱりいいっていうのは、わたしがいうまでもないよねっ♪




【原文】

冬はつとめて。


雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。


霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、 火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。


昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。 



【現代語訳】

冬といえば、早朝(がよい)。


雪が降っているのは、言うまでもな(くすばらし)い。


霜がとても真っ白なのも、また、そうでなくても大変寒い朝に、火などを急いでおこして、炭を運んで行くのも、とても(冬の朝に)ふさわしい。


昼になって、寒さがゆるんで暖かくなっていくと、丸火鉢の火も白い灰が目立つようになって、好ましくない。



【幼女語意訳】

冬は朝早くがいいんだよ。


雪が降ってくるのは、言うまでもなくいいよね♡


シモがおりて、おそとがすっごく白くなっちゃっても、そうじゃあなくっても

すっごくさむい朝にね、いそいで火をおこして、できたすみをはこんでくのも、とっても冬っぽいよね。


でもぉ、お昼になって、さむくなくなってきちゃったころにはね、まぁるい火ばちに入れたスミも白くなってきてるの、それはやだなぁ……。

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枕草子 ようじょ語意訳 麻倉 じゅんか @JunkaAsakura

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