第3話 勇者の君臨の際で

村を燃やし、僕はこの山を出た。

 

楽しすぎる。


虐殺とは、何故こんなに楽しいのだ。

僕は今、感動している。


どんどん旅をしていこう。


次々と街や村、全てを焼き尽くして魔人を滅ぼす。


人間の世界を作り出す。

 

とりあえず、家の金貨を盗もう。


火が巡っているが、そんなの知りもしない。

何とでもなる。



金貨を漁っている最中、後ろに火が回っている最中、

側に火があることに気付かなかった。


核で消そうとしたが、意味なんざない。

だって、勇者が現れたんだから。


「今、来たよ」


それだけ言って周りを滅ぼす勇者。

そしてただ眠る。


疲れる。


こいつの所為で魔物がこっちに襲いにくるだろ?

よし。

第二ラウンドといこう。


村の残骸など邪魔なだけだ。

多くの人間の思い出だとか、そんなの僕にとってはどうでもいい。

これに感情を持っている人間なんて不完全なだけだ。


【atomic melody】


指で音を鳴らすとその音は村中に響き渡り、爆発する。


「やはり、こいつは最高だ!」


何かを壊すことは楽しい。

さらに、それを拒む敵がいる筈のこの世界に僕は期待を抱いている。


「さてさて、来たかな?」


僕が後ろを振り向くと、そこには多くのオーガ。


楽しみで仕方ない。

今回は、技を使いすぎた。


この体を一回は使ってみたい。

物理的な攻撃をしてみたい。


「この幼い女を運びながらやるか、」


前世では、色々な女と関わりを持った事があるので、そこまで抵抗などない。


オーガは、三体。


まあまあの強さだ。


「剣が欲しいな。走るぞ!」


「ゔぉああぁぁ」


厳ついその覇気がくるが、そんなの関係ない。


あれは、確かあのピアノの近くに置いていた筈だ。


走る。

森の茂みを全て掻き分けて素早く動くが、

オーガはそんなの関係なしに茂みを踏み倒して動く。

 

もうそろそろ着くぞ。


そう思った時だった。

オーガが突如高速になり、走りかかってきた。


「嘘だろ!」


オーガが斬撃を喰らわせようとする。

僕はすぐにエリーを投げ捨て、いや、斬撃を喰らわせる訳にはならないから、避けさせる事しかできないのだ。


斬撃が僕の背中に直撃し、痛みらしき感覚が僕を襲う。


しかし、そこまで、では、ない。


核に触れた時に出るあの感覚よりはマシだと思う。

あの、体の組織を壊されたような、感覚は。


さてさて、発見だ。


這いつくばりながらも、確実に俺は動いている。


「あの剣があればいいんだ。」


人間の世界に魔力などない。

しかし、核という悪魔ならある。


核を吸収する金属それを俺が発見した。

それが、原因だった。


俺はその金属で作った剣を一度も変えたことはない。


その剣には金属が編み込まれ、

銀色が錆びついた色の劍身。

茶色の布。

それに包まれたそれは、俺の相棒だ。


「やっと見つけた。


久しぶりだな、【惡劍】。」


「さて、やるか」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔弾の核術師〜目が覚めたら、人間が滅亡してたので世界を支配したいと思います〜 小説狸 @Bokeo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ