蒼星
笹乃秋亜
蒼星
突如、現れた
——風鳴り。開け放たれた教室の窓にカーテンの裾が翻って、斜陽の映る夏空は急速に青冷めていった。赫々たる太陽は西に大きく傾いで、地平線に爆ぜた。紫煙が靡いて、空は赤く烟っている。高温の大気圏内では、淡い月のかげはあっという間に蒸発してしまって。半球の硝子細工は今、その光沢を剥がされて、ひび割れた裏側に深海が透けていた。滴る雨は僕の頬を濡らして、夜が伝い落ちていった。
ああ、「空」は真に虚像だったのだ!
乾いた声が零れた。瓦解する青、壊れた硝子の破片が宙に散って、乱反射する夕焼け。海の香りが鼻先を掠めた。幻想は爆ぜた。太陽も月も、全てはこの星が見せた幻に過ぎなかったのだ。ガランと開けた虚空は酷く澄み渡って見えて、並々と深淵を湛え、ついに何も映さなかった。ただ、蒼白い
蒼星 笹乃秋亜 @4k1a
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