乙女ゲームにはまり、おしゃれをするようになった私

夕日ゆうや

恋する乙女はゲームをする。

 乙女ゲーム『プリンス・プライド』。

 私の数少ない女友達から教えてもらったゲームだ。

 ミコちゃんはこういったゲームを好んでいる。

「それで? 誰を攻略することに決めたの?」

 ミコちゃんは意地の悪い笑みを浮かべる。

「ええと。ジークフリートかな」

「違う。違う。ゲームの話じゃなくて、リアルの話」

「え。いや……」

 地味で目立たない私にとって、リアルの恋は遠い存在なの。

「でも、高広たかひろくんのこと、好きでしょう?」

「しっ! 聞こえちゃう」

 ここは教室。もちろん高広くんも同じ空間を生きている。

 聞こえたら大変なことになる。

「聞こえないよ。大丈夫」

「そうだといいのだけど……」

 その夜、私はプリンス・プライドをやる。

 そこにはたくさんの魅力的な男子が登場し、私を褒め称えてくれる。

 それが嬉しくなり、ついジークフリート編以外にも、オルガ、シノもクリアした。

 お陰で徹夜だ。

 でも、私の中のキュンポイントが跳ね上がった。

 私も化粧、してみようかな?

 そう思いメイク道具に手をつける私。

 乙女ゲーはまって、おしゃれに気を遣うようになった私。


「お。どうした? 郁美いくみ

「え。高広くん!?」

「いや、可愛い子がいるな、って思って……」

 照れくさそうに頬を掻く高広くん。

 そんな姿を見て胸がドキドキする。

 私、恋しているんだ。

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乙女ゲームにはまり、おしゃれをするようになった私 夕日ゆうや @PT03wing

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