フルチダンサーズ

山本もぐら

フルチダンサーズ

いつも暗闇で悲しい歌をうたう、

80代くらいのお爺さんがいて、


そろそろ自分は寝たきりになるし、

歌もうたえなくなると、

呟く。


来たよ!フルチダンサーズ!


若い男の子たちの叫び声がし、

見れば、

全裸、毛深い男の子たちが、

一生懸命に、

寒空の下で激しく踊るのだ。


誰かを勇気付けたい。

誰かに、希望の光を届けたい。


来たよ!フルチダンサーズ!


ご臨終です。

お医者様が言って、お爺さんの顔を見て、笑いそうになる。


私は古い蓄音機のスイッチを入れた。


暗闇が私たちを浸していく。誰も助けない。私たちは暗闇になる。


そんな歌詞の歌が、延々と流れる。


寒いよ!僕たちもうダメ!


若い男の子たちが、倒れ込み、激しく痙攣し、動かなくなる。


全裸、毛深いカラダで、異様な臭いを放つ、フルチダンサーズだ。


駅前で焼き芋が、売られ始める。

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フルチダンサーズ 山本もぐら @yamamotomogura

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