【最終回】知らない間に、妹は立派になっていた

 みのりと健吾君の本屋デート? は失敗に終わった。彼が自分の部屋かみのりの部屋でゲームする事を求めたからだ。


その発言にみのりが少し引き、空気が悪くなる。宇佐美さんが原因を作った健吾君を叱った事で、彼は帰ってしまったのだ。


同性の友達なら部屋に入る・入られるのは問題ないけど、異性はそう簡単にはいかない。一応、僕も覚えておいた方が良さそうだね。



 あの件から、みのりは“彼氏が欲しい”と言わなくなった。健吾君との関係がどうなったかはわからない。ああいう結果になったから訊きづらいんだよね…。


みのりは中1だし、まだまだチャンスはあるはず!


一方、僕と宇佐美さんの関係はどうかというと…。


「みのりちゃん。理解力良いし物覚え早いし、本当に良い子よね~」


教室の自席に着いたある日、偶然隣の席にいた宇佐美さんが話しかけてきた。普段は友達のところに行ってるから、空席のケースが多い。


みのりから聴いたんだけど、たまに2人で図書室で勉強してるらしい。わからないところは宇佐美さんが教えてくれるとか。


「みのりが迷惑かけてゴメン」

勉強の邪魔してる事になるし…。


「全然迷惑じゃないから! 教えるのも私にとってプラスなの」


みのりの話題が、僕と宇佐美さんの関係を維持してる状態だ。この関係が生まれたのは、みのりと健吾君が彼氏・彼女を求めたおかげになる。


これからも、この関係を大切にしていきたいな…。


「それじゃ、私は向こう行くから」


宇佐美さんが見た先に、彼女といつも過ごしてる友達がいる。


「わかった」


「バイバイ」


宇佐美さんは僕に小さく手を振ってから向かって行った。



 そしてその日の放課後になり、僕はみのりと一緒に下校する。


「ねぇお兄ちゃん知ってた?」

隣にいるみのりが嬉しそうな様子で声をかけてきた。


「何を?」


「宇佐美さんって、彼氏いないんだって~」


本屋に行った時、宇佐美さんがみのりに参考書を買ってあげたんだけど、その時に連絡先を交換したらしい。それから2人は仲良くしてるみたいだ。


じゃなきゃ、彼氏のいるかどうかなんて話さないよね。


「そうなんだ」

何でそれを僕を言うんだろう?


「2人って、学校で話してる?」


「一応ね」

ぐいぐい来るな~。


「あたしと宇佐美君はあんな結果になっちゃったけど、お兄ちゃんと宇佐美さんはイケそうだよね!」


「イケる…? 何の事?」


「鈍いな~。“お兄ちゃんと宇佐美さんは付き合えるかも?”って事!」


彼女を作るのに興味あるって言ったけど覚えてたんだ…。(3話参照)


「勉強の休憩中に、お兄ちゃんの事いっぱい話してるんだ~。宇佐美さんは楽しそうに聴いてくれるんだよ!」


変な事言ってないか心配だな…。


「あたしができる限り、2人をサポートするからね!」


そんな事言うけど、みのりは世話を焼きたくてウズウズしてるように見える。



 宇佐美さんは弟の健吾君だけでなく、僕とみのりまで気にかけてくれる良い人だ。女子で話せる唯一の人なのも大切なポイントだよね。


もし宇佐美さんを彼女に出来たら、僕だけじゃなくてみのりも楽しい日々を過ごせる気がする。だったら…。


「そうだね、お願いしようかな」


「任せて!」


知らない間に、妹は本当に立派になっていた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】知らない間に、妹は女になっていた あかせ @red_blanc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ