【スコップレポート+読書日記】「僕はライトノベルの主人公」
超久しぶりのスコップレポートです。
今回紹介させていただくのは第29回スニーカー大賞で特別賞を受賞された
寺場 糸「僕はライトノベルの主人公」
https://kakuyomu.jp/works/16817330663201017816
いやいや、さすがに受賞作を“スコップ”レポートってのはいかがなものかと思うよ。とそうお思いでしょう。実は順番が逆で、いつかスコップレポートで取り上げたいと思っていたら、スニーカー大賞を受賞されて書籍化されたという訳です。
本当ですよ?
こんな感じで、一年前の時点で激推しレビュー投稿してるくらいだからね!
https://kakuyomu.jp/works/16817330663201017816/reviews/16817330665093572917
私がカクヨムをガッツリ使い始めるきっかけの一つにもなった非常に思い出深い作品なんですよね。
さて、そんな私が一年以上推し続けている本作ですが、ジャンルは「青春メタフィクションラブコメ」
多分、後にも先にもこんなジャンル表れないんじゃないか?
そもそも、メタフィクションというジャンル自体がかなりレア。メタフィクションってのは、登場人物が小説の中にいることを把握していたり、著者が読者に語りかけてきたりするやつ。
コメディ調の作品ならエッセンスとして、そういうシーンが挟まれたりするけど、本作はそれを軸に物語が進んでいく。
あんまり詳しく話してもネタバレになると思うので、こればっかりは一度読んでみて欲しいとしか言いようがない。特にメタフィクションは免疫がないほど衝撃的だと思うので、これまで一度もメタフィクション読んだことがないよ!って人にこそおすすめしたい。
とまあ、ここまではカクヨム版と書籍版の両方に共通する感想。
ここからは、二つのバージョンを比べつつの感想になります。
カクヨム版は読んだのが一年前なのに対して、書籍版はついさっきなので、自然と書籍版メインで語ってしまうのは許して欲しい。
本作がスニーカー大賞の特別賞を受賞されたとき、私は「この作品の面白さが分かる選考委員で良かったよ」と後方腕組み彼氏面だったわけですが、書評の中にあった「粗削りだけど、光るものがある」(うろ覚え)みたいな感想にいまいち賛同できていなかった。
そんなに粗削りじゃないだろ!と
で、実際に出版された書籍版を読んでみて。
なるほど、丁寧に削るってこういうことか。と即納得してしまった。
カクヨム版と書籍版は大筋こそ同じであるものの、登場人物から展開にいたるまでかなり異なっている。
これは先日投稿した「アオハル100%」の読書日記でも触れていたが、世の中の受賞作品は思っているより改稿されているらしい。
ちょっと手直し、なんてレベルじゃない。体感的にはほとんど書き直してるんじゃないの?くらいの勢い。
丁寧に削るということに話を戻すと、書籍版はなんというか“製品”としてのまとまり感が格段にアップしていた。いわゆるラノベらしさにしっかりチューニングしつつ、応募時点の良さは全く失われていない。
個人的にはカクヨム版のカオスなドライブ感というか外連味溢れる描写とかめっちゃ好きなんですけどね。万人受けしないと言われたら否定できないかもしれない。
加えて、一年前には気づかなかった本作の魅力として、作品の中に生きる人たちへの愛やリスペクトをすごく感じた。
本作は小説を書く時、頭の中に存在した世界とそこで生きていた人たちのことを思い出させてくれる。
創作活動の尊さを描く小説は最近しばしば読んでいたけど、こういう観点で創作行為の力を思い出させてくれるのは、メタフィクションというジャンルにしかできない。
私も、これまで小説を書いていたとき、自分では想定していない言動をキャラクターが取り始めたこともあったし、そういう意味で間違いなく彼ら彼女らは生きていたんですよね。もっと言えば、主要キャラクター以外の
去年カクヨム版を読んだときは、メタフィクションならではのギミックに脳を焼かれて気づけなかった本作の魅力です。
それで、カクヨム版と書籍版どちらがおすすめかと聞かれると数時間悩んだうえで書籍版と答えるでしょう。
しかし、あえて言うならばカクヨム版を読んでから書籍版を読むということもしてみて欲しい。
もちろん、この2バージョンの間に直接的な関係は全くないんですけど、メタフィクションというジャンルの都合上、カクヨム版を読んでいると「うおっ」と思えるポイントがちょっとあるんですよね。明言するとこれまたネタバレになるので言えないですが。
別に、カクヨム版の読者にだけ伝わる内輪ネタとかでは決してないですよ。
そりゃ、ちょい役としてエビゴンが登場したら「うわっ、寺場さんこんなことしちゃって!」ってなるけどさ。(カクヨム版読んだ人にだけ伝わるネタ)
とまあ、とにかく、単純に扱うテーマの珍しさという点でも普通の小説に読み飽きたぜ、という人にぜひともお勧めしたい一冊です。
普通の小説をそんなに読んでない人でも、「なんじゃこの小説」となるのでお勧めです。
要するに、全てに人にお勧めということです。
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