第13話:もっと親しもう中華麺

 私が業務スーパーでよく購入する商品の一つに「中華麺」がある。ごく基本的な食材でありながら、乾麺にしても冷凍麺にしても、他の店ではなかなか売っていない。もちろんスープ付きの「インスタントラーメン」ならどこでも買えるが、中華麺を単独で買える店というのはめったに見かけない(せいぜい韓国ラーメンが充実している店に「サリ麺」が置いてあるくらいだろうか)。


 これは奇妙な話である。うどんや蕎麦、パスタ類であればコンビニですら置いてあるのに、なぜか中華麺は単独では扱っていない。これは当然需要の問題であり、つまり多くの日本人は中華麺を(出来合いのスープではなく)自分で味付けするというという調理を日常的には行わないということである。


 業務スーパーでは、そのような中華麺に合わせるためのラーメンスープなども当然取り扱っているが、これも他所ではあまり見ない。めんつゆやパスタソースはたくさんの種類があり、多くの消費者は好みの麺と組み合わせているはずだが、なぜか中華麺に関しては「インスタント」として麺とスープ(と具材)がパッケージングされたものばかりが売られている。


 要は、日本において中華麺というのはまだ家庭に定着していないのである。もちろん外食やインスタントでは大人気だが、自分で味付けを考える家庭料理としては全くと言っていいほど開拓されていない。これはとても惜しいことであるし、同時に商品としてはまだまだ可能性がある分野ではないだろうか。


 さて、私が中華麺を使って作る料理の代表格は「担々麺」である。それも汁なしのクラシックスタイルだ。肉味噌を作ってゴマダレ・ラー油とともに麺にかければ、それだけで完成、実に手軽だ。詳しい作り方は以前パスタレシピとして紹介したので、興味がある方はどうぞ。


https://kakuyomu.jp/works/16817330655574974244/episodes/16817330655575144494


 そういえば、ラー油というのも一般的には持て余しがちな調味料であるらしいが、上記の担々麺や麻婆豆腐を日常的に作っているとまず余らない。それどころか足りなくなってごま油を継ぎ足して無理やり使ったりする(唐辛子の粉が入っているタイプだと再利用できる)。


 結局、ラーメンに限らず中華料理というものは、まだまだ日本の家庭料理にはなりきれていないのだろう。外食では大人気であり、多くの家庭でインスタントや「○○の素」で作ることはあっても、スープや合わせ調味料を自分で作ってみたりする例は少ないようだ。それだけメーカー製品の完成度が高いということでもあるのだろうが、もう少し冒険してみてもいいんじゃないの? と思うのである。以前に麻婆豆腐の回で説明したように、専用の調味料が無くても意外となんとかなるものである。

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