第6話 マイナ保険証はどこへ向かえばいいの?

「最初に言ったけど、マイナ保険証の考え方自体は悪くないと思うんだ。実際に理想通りに機能しだせば、事務作業も軽減できるし、投薬情報や健診情報なども医師に公開されているので、診療の役にも立つと思う。

 ただ、その最終的な理想形態と、それに至るまでの道筋が、政府から全く示されていない。

 今の政策だと、どうせ保険者と病院事務の苦労は患者さんから見えないから、そこは我慢してもらって、とにかくマイナンバーカードの普及率をあげようとだけ考えているんじゃないかと勘繰りたくなるよ。  

 これは良いものですよ。買ったらご利益有りますよ……だけじゃ、どこぞの壺のセールスと変わらないじゃない?」


「そうね。でもそこまで言うなら、どうすべきだとあなたは思うの?」


「そうだね。あくまでも僕の私見だけど……

 まず現在の縦割り医療法群の中で、全ての保険・公費をどの様にマイナに紐づけていくかのビジョンをしっかり作成してシステムと運用を設計し、国民に示す事。

 それが出来るまでは紙の保険証も残すか、さっき言ったみたいにスマホのマイナポータルでの保険資格窓口提示や保険情報印字での使用も認める事。

 あるいは、住民票の様に、コンビニでマイナカードから保険証が顔写真入りで印刷できるのもいいかもね。それなら印刷したやつを公費受給者証といっしょに窓口に出すだけで、事務員さんは顔も確認出来る。

 つまり、医療機関側のインフラ・通信だけに頼らず、患者がいつでも自分の意思で保険情報を提示出来る手段を用意しろという事だね。

 それで、資格確認障害時の資格申立書は廃止する事。

 こんなの不正の温床にしかならないと思うよ。

 あっ、でも、紙保険証が残れば問題ないけど、マイナカードがない人用の資格証明書は当然あっていいと思う。でもこれ、多分保険者が発行するんだよね。保険証とかわんないものが出来そう……」


「うん。よくわかんないけど、よく分かったよ、マイナ保険証。患者さんも、医療機関も保険者さんも、もっと簡単に気持ち良く使える日が早く来るといいね」

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