第5話 なりすましって本当に出来るの?
「戦後80年に掛かってきて、日本は今だかつて経験した事のない超高齢化社会になって来ている。そして医療も進歩して新しい技術や薬が開発されそのどれもがそれなりの値段になっている。
医療保険の財源が危ないのは、今更僕が説明するまでもないでしょ。
それで、なぜマイナ保険証なのかというと、もちろんデータを一元化して医療品質や事務効率を上げるのが第一目標なんだが、実は、不正受診対策という側面も持っている」
「不正受診?」
「そう。今の保険証は、持って来た人がその本人だという生善説に基づいて運用されているんだけど、実際にその保険証の名前の本人が受診に来ているかを調べる術がないんだ。
だから保険証を貸したり、今のパソコンなら偽造したりが簡単に出来てしまう。
だけど、マイナンバーカードなら、持って来た人がほぼ本人だろ?」
「ああ、そうか。でも……ちょっと待った。マイナカードでエラーになっても、さっきの資格申立書? で3割負担になるんじゃないの?
あ、でも。マイナンバーカードは顔写真入ってるか」
「そう。写真入りって言うので大丈夫だと政府は思ってる? のか知らないけど、実際に、病院窓口で事務員が、患者さんが自分のマイナンバーカードをスキャナに挿してるかなんて確認出来ると思う?」
「そうだよね。マイナンバーカードに触っちゃダメな医療機関もある位だし」
「仮に触って良くても、全員の患者さんの顔をカードと突き合わせたり出来ないよ。
また受付の動線が増えちゃうし、それじゃそもそも顔認証システムの意味が全くない!」
「ははは。それじゃ、偽造したマイナンバーカードを機械にかけて、エラーですって言って、資格申立書で三割負担で受診できちゃうじゃん」
「そうなんだ。マイナンバーカードにはICチップが入っているけど、エラーにする目的ならそんなの関係ないからね。
先日も偽物の報道があったけど、あれ、どうなったのか。
そう言う事に目をつぶってマイナ保険証だけにしていいのかと、本当に思うよ」
「そんなやり方が広まったら、健康保険料払わない人が続出したりして」
「いや、それは一応違法です」
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