再転生
「はあ…。」
北へドワル達ドワーフを連れて行き、南狼関まで急いで戻ってきたアラタは、事の顛末を報告されため息を吐く。
「我が主アラタ。王を邪魔する者は全て倒した。褒めてくれてもいいぞ。」
大きな身体のレオルの後ろに隠れながら話すリーズ。
レオルは庇う気が無くなったのか呆れた顔で半歩横に身体をずらす。
急に姿を見せなければならなくなったリーズは慌ててまた隠れようとするが、レオルがひょいひょいと隠れさせない。
「リーズや。お前はわしの命令を無視した。それがどういう事かわかるな?」
泣き出しそうな顔でアラタを見つめ頷くリーズ。
「もし、お主らがやられていたらここにいる民達はどうなる?いくら防壁を高くした所で守る将が居なければ意味が無い。」
いつもと違うアラタの雰囲気に、重い雰囲気が流れる。
「アラタ王!ガキ扱いした俺の意見じゃ意味ねーかもしれねぇが、この姐さんは決して私利私欲で戦った訳じゃねぇ!どうか俺の首で許しちゃくれないか?」
「足りんなら俺の首も出そう。」
予想外の張飛と関羽の懇願に、リーズは目を開き驚く。
その様子を眺めていたアラタは頭を掻きながら告げた。
「結果論じゃが、二人がそう言うとは、お主らの絆を深めるという目的の一つは達成されたようじゃの。心配せずとも最初から重い罰を与えようとは思っておらんよ。リーズの機転に助けられた事も今まであるからのう。少しは防衛を覚えて欲しかったから指示したんじゃが、リーズが向いてるのはやはり攻めじゃろうな。それはともかく皆の者、良くやったな。素晴らしい働きじゃ。」
アラタの言葉にリーズは顔を輝かせる。
「我が主アラタよ、我が一番敵をやっつけた。褒美はまた街巡りで良いぞ。」
「後片付けじゃ。」
「え?」
「それはそれ、命令違反は命令違反じゃ。リーズには罰としてこの南狼関を建てた時に残った建材の後片付けと掃除を命じる。そして褒美は無しじゃ。」
「そんな!我が主アラタ王!我は細かい作業は苦手だ!」
動揺するリーズの肩にレオルがポン、と手を置き首を振る。
諦めたのかリーズは掃除道具を取りに行った。
「それで?チンギスは結局出てこなかったのじゃな?」
改めて問うアラタにレオルが答える。
「ああ、陛下。進軍途中だったから攻める命令は出したのは間違い無いだろうが出てこなかったな。」
「力を測ってきた可能性があるのう。」
無言でレオルや他の皆が頷く。
「考えても一緒じゃな。もし勝てると思ったら攻めて来るじゃろう。それまでにわしらも出来る限りの準備をしよう。北の関所も護らねばならん。」
「ククク…北へは俺が行くとして西はどうする?南に集中するには戦力が足りぬな。」
正しい織田信長の指摘にアラタが腕を組み考え込む。
「せめてもう一人、司令官向きのジパングの将が欲しいのう…。」
…
…
…
…
ジパングの聖天堂でその男は目を覚ます。
「ここは…?」
その男は何が起こったか理解できず混乱していたが駆けつけた巴を見るなり、涙を流し微笑んだ。
「もしかして…日本人に戻れたのかな?」
姿形は日本人に変わっていたがその雰囲気を感じた事がある巴はその男が誰か直ぐに分かった。
「良かった。転移されてきてこの世界で死んじゃった人なんて今まで見た事無かったけど、日本人として再転生出来たんだね…」
巴も涙ぐみながら語りかける。
「ようこそ…!ジパングへ!
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異世界を生き抜いた帝王 日本人に再転生する たまゆき @kodaruga
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