最終話 『私と彼の物語』

       【エピローグ】


 今まで応援、メッセージ、☆評価、レビューまで誠にありがとうございます(^-^ゞ


 ◆ ◆ ◆



 私は星見 結愛、どこにでもいる『普通』の女子高校生だ。四月に入学して、いよいよ高校デビューだ! って、意気込んでた矢先……


 入学してわずか一週間後、交差点で『交通事故・・・・』に遭った。両親によると、半年間・・・も意識が戻らなかったみたい。

 目を覚ました後、私はリハビリに励みなんとか復学できた。クラスの皆も心配してくれた。



 あれから半年……ちょうど『事故から一年』が経ったある日。



 私は学校の帰り道、例の『交差点』の前にいた。なんの変哲もなく、ここで私は『事故』に遭ったんだ……。けれども、私は『違和感』を拭えなかった。


 ネットで、自分の『事故』について調べてみた。だけど、どこにもそんな『記録』はなかった・・・・

 『半年間も』意識不明なら、結構な事故のハズなのに……。そもそも私は、本当に・・・事故に遭ったのだろうか……?


 なんだか、すごく『重大なこと』を見落としてるような……。青信号に変わったので、とりあえず歩いてみる。真ん中に差し掛かった時……


「…………っ!?」


 強烈な『既視感』があった。私は半年前、ここで『誰か』と擦れ違った。その誰かが、どうしても思い出せない……。

 赤信号に変わりそうだったので、私は慌てて渡った。『アレ』は何だったんだろ……?



 ◇ ◇ ◇


 私は『違和感』を感じたまま歩き、気がつけば海岸まで来てた。四月なので、人もまばらだ。

 数組のカップルが仲睦まじく、二人で腰掛け夕陽を眺めたり、手を繋いで歩いたりと、思いおもい過ごしてた。


「……………………」


 私はその様子をぼんやりと眺めた。いつか私にも『恋人』が出来たら、あんな風になるんだろうな……そう思った瞬間。


「うっ…………!」


 またも強烈な『既視感』を感じた。さっきからなんなの……!? でも繰り返されるってことは、私は以前に経験・・・・・している……?


……やっぱり私、すっごく『大事なこと』を忘れてる。思い出さなきゃ!


 私は記憶を手繰たぐり寄せるように、砂浜を歩いてみた。『大切な人』と歩いて、約束を誓い合った……ふと足を止める。



「……ジョッシュ・・・・・



……思い出した。思い出したよ!



 『異世界』で、出逢ったかけがえのない男性ひと。なんで今まで忘れてたんだろ……。


「ジョッシュ……ゴメンね。半年もあなたを忘れてたなんて。私はこっちに『還る』ことを選んだ。だから、罰が当たったかもね……」


 私は沈みゆく夕陽の前で、波打つ砂浜に膝をついた。ポロポロと涙が零れる。


「でも……でも! やっぱり会いたいよぉ! ワガママなのは分かってる。それでも……私はあなたに会いたい! ジョッシュぅうううぅ……!」


 うずくまって、子どもみたい泣きじゃくる私。



「そんな顔は似合わないぞ? ユウナ」



………………………………………………え?



 世界で一番、聞きたかった声。私が顔を上げると……



 居た。

 最愛の彼が。



「…………………………………………ウソ」


 私は口元に手を当てて、それしか言えなかった。目の前のいるのは夢でも幻でもなく、正真正銘の『彼』だ。


「――ジョッシュ!」

「――ユウナ!」


 私たちは一目散に駆け寄り、抱き締め合った。彼は私を抱き上げ、クルクルと回転する。


「夢……じゃないよね? ジョッシュ」

「もちろんだ。待たせて悪かったな、ユウナ」


 ああ……また会えるなんて。本当に『奇跡』だよ。


「でもジョッシュ……どうやって『ここ』まで?」


 私の場合、溜め込んだ『歪みの力』を解放したんだけど。


「ああ、魔王の因子さ。あれから俺は鍛練を重ねて、完全に制御できるようになった。因子を解放することで、なんとか『こっち』に来れた」


 そうなんだ……流石はジョッシュだよ。


「本当はもっと早く、会いにいきたかったんだけどな。どうしても、やらなきゃいけない事があったんだ」


「……よっぽど、大事なことだったんだね」


「ああ、ユウナタウンさ。ユウナが一から築いて、護った街だ。永続するには、どうしたらいいか? って俺なりに考えた」


「そっか……ゴメンね、ジョッシュ。あなた一人に押しつけちゃって」


「気にするなよ。俺も『町長』だったしな。俺は街に帰った後、皆に『全て』話したんだ。ユウナが『異邦人』で、元『闇の巫女』だってこともな」


「……みんな、さぞ驚いてたよね。それに黙ってて怒ってたかも」


 しょんぼりする私の頭を、彼は優しく撫でた。


「ハハ、ユウナは心配性だな。確かに最初こそ面食らってたが、すぐに受け入れてくれたよ。それに俺に『いってこい。ユウナを幸せに出来るのは、お前だけだ』って背中を押してくれた」


 みんな……私は感極まった。本当に街の人たちは、いい人ばかりだ。


「ちょいとばかり、引き継ぎに時間が掛かった。幸い俺の『後継者』は、爺さんの一番弟子が引き受けてくれた」


「うん……あの人なら、上手くみんなをまとめてくれるよ」


「それと婆さんから、手紙を預かってるんだ。写真もな」


 それは、ユウナタウンが出来た時のみんなの『集合写真』だった。ありがとう……一生の宝物だよ。そして、お婆さんからの手紙。



【ユウナへ。元気でやっとるかい? こっちは大丈夫さ。爺さんの弟子が上手くやってる。隠し事をしてたのを病んでるみたいだけど、気にしなさんな! そもそもユウナがいなけりゃ、今日こんにちの私たちはいなかったんだからね。孫娘も今だにとこに伏せたままさ。いいかいユウナ。アンタはもう十分過ぎるほど、よくやってくれた。誰が文句を言うさね。街の皆が望んでるのは、ユウナの『幸せ』さ。私たちは、離れていても心は一つ。ジョッシュと末長く幸せになるんだよ】



「………………………………………………」


 言葉にならなかった。ありがとう……みんな、本当にありがとう。私はそれ以上、何も考えれなかった。


「ユウナ……俺は二度と君を離さない。これから一生、よろしくな」

「こちらこそ……よろしくお願いします」


 私は涙を拭いながら、彼と固く握手をした。いつまでも泣いてたら、お婆さんに笑われちゃう。



 見つめ合い、夕陽を背に重なる唇。



 異世界で知り合った私たちは、永久不変の愛を誓い合った。



 ◇ ◇ ◇


 それから私は、彼を両親に紹介した。お父さんは、最初は驚いてた。まぁ一人娘が、急に『外国人』の彼を連れてきたらそうなるよね(^。^;)


 でも、彼とはすぐに打ち解けた。誠実な人柄が気に入ったみたい。住み込みのバイト先まで、紹介してくれた。ありがとね、お父さん(^人^)


 さらに彼は働きながら貪欲に勉強して、私の高校に編入した。現実世界に来て、一年足らずなのに……彼の勤勉さは恐れ入るよ(∩_∩;)



 そして、月日はあっという間に流れて……



 私たちは高校を卒業して、大学も一緒。順調に交際を重ね、ついに『晴れの舞台』を迎えた。



「新婦よ。貴女はいかなる時も命ある限り、夫を支え生涯愛することを誓いますか?」



「はい。誓います」



 私は『結婚式』で、堂々と宣言した。こんなに素敵な『旦那様』なんていないもんね(^^)

 ジョッシュがゆっくりとウェディングベールを開き、私はそっと目を閉じた。



 誓いのキス。永遠の愛の証。



 チャペルの扉を開けると、学生時代の友人らが祝福してくれた。私が背面にブーケトスすると、多くの女性が殺到した。次は貴女がお幸せに(*´∀`)


 その時、私は遠くから『誰かの』視線を感じた。『知ってるような』知らないような……。私が視線をたどると、もう『その人物』はいなくなってた。


……今のは一体? なんだか『赤の他人』ってわけでもなさそうだったけど(´・ω・`)?


「ん? どうしたユウナ」

「う……ううん。なんでもないよ」


 こうして私と彼は、晴れて『夫婦』となった。



 ◇ ◇ ◇


 それから、さらに月日は流れ……


 私たちは、男女の双子の子宝に恵まれた。慣れないうちはバタバタしてたけど、優しい旦那様が私を支えてくれた(^^)


 そんなある日。


「ねぇねぇ。ママとパパは、どこで知り合ったの?」

「どっちから『プロポーズ』したのぉ?」


 不意に子どもたちに訊かれ、私たちはお互い見つめ合って微笑んだ。いつかは話そうと思ってたけど、こんなに早く訊かれるなんてね。


 ジョッシュが『集合写真』の写真立てを手に、私たちは子どもを挟んでソファーに座った。私はゆっくりと話し始める。



「ママとパパはね。『遠い国』で知り合ったのよ。ママがまだ高校生だった頃にね……」



【虐げられた私が幸せになるまで ~優しい皇子に愛されて、毎日が幸せです。虐げてきた王国は崩壊しましたが、どうぞ私たちにはお気遣いなく~】


                 ――Fin. 


 ◆ ◆ ◆


 お疲れさまでした! 最後までお読みいただき、誠に感謝しております(^o^ゞ


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【完結】虐げられた私が幸せになるまで ~優しい皇子に愛されて、毎日が幸せです。私を虐げてきた王国は崩壊しましたが、どうぞ私たちにはお気遣いなく~ たくミン☆ @takumin1110

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