エピローグ
『檸檬爆弾』を読み終えた二人は腑に落ちなさそうな表情をしている。
「魔力研究者、五十嵐良介の物語ですか…。これ、本人が書いた記録ですかね……。でも爆発して死んだんじゃ…、こんなの書けないと思うですよね……。」
「多少脚色を加えているんじゃないの。」
「でも、こんな重苦しい話を脚色しますかね……。」
この記録の信憑性が分からない。特に最後の方は曖昧に書かれている。
「それよりも私は、この記録に出てくる佐藤博士は本当に檸檬爆弾で死んだのかが、気になるけど……。」
「どういう事ですか?」
「この記録は五十嵐博士の視点で書かれている。でも、どう考えても佐藤博士は五十嵐博士に嘘をつくような関係には思えない…。」
「つまり、佐藤博士の檸檬爆弾を食べていないと言う主張は本当だったと?」
「ええ、そして倉庫内で人為的に爆破された。」
「えっ!何でそうなるんですか?」
少年は驚きと疑問が隠せない様子だ。
「佐藤博士が行っていた実験は魔力多量摂取による凶暴化についてで、この実験はどう考えても当時の政府にとって都合が悪いと考えられる。そして、佐藤博士は『僕にもしもの事があったら研究所のことよろしくお願いしますよ。』と言う発言をしている事から本人も何となく命が狙われている事を察していたのではないかなと……。」
「なるほど、そういうことなら色々と辻褄が合いますね。となると、安全のために研究所で寝泊まりしてたという事も推測も出来ますね。あれ……、でもこの推理だと爆破実行役が……。」
「蓬莱という警備員になる。」
「そうですよね……、爆破当日に研究所にいたのは、三人だけですから……。つまり、蓬莱は政府内通者。」
「でも、これらは私の推理に過ぎないし、この記録の信憑性も保証できない。」
「何だか、歯切れが悪いですね……。」
檸檬爆弾 彼岸 幽鬼 @meem
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