第22話 日本人の6割が本離れの現状に対策を考える
先日、文化庁の「国語に関する世論調査」で、月に1冊も本を読まない16歳以上の日本人は6割を超えているという発表がありました。
小中学生は、学校での読書推進の取り組みや読書感想文などのおかげで、本をまったく読まない人は少ないらしいのですが、そういう縛りがなくなったとたん、みんな本を読まなくなってしまうようです。
10~20代の若い人たちが本を読めない理由は「スマホ・タブレットなどに時間を取られるから」。30~40代は「仕事・勉強で多忙」。50代以上になると「視力低下など健康問題」が増えてくるそうです。
また、長文が読めない人も増えているようで、「長文離れ」というべき現象が顕著になっているようです。
その原因は「SNSに特有の、文脈のない細切れの短文に慣れたため」と『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』という新書の著者で文芸評論家の三宅香帆さんはおっしゃっているそうです。
(出典:RKB毎日放送「月に1冊も本を読まない」6割…どの世代でも進む“読書離れ”)
う~ん……『カクヨム』で小説家目指してがんばっている我々には由々しき事態だし、私のように「超」がつく長編書きにはものすごく厳しい状況になっているわけです。どうしましょう。
世論調査で調べた「本」には電子書籍も含まれています。(雑誌・漫画は含まれていません)
スマホやタブレットを見ている時間は長いのに、そこに発表されている小説は読んでもらえていない、ということです。
ますます心配な状況ですよね。
対策を考えてみました。
1.スマホ・タブレットは見ているけど小説を読まない。
→SNSなどに短くて印象的な面白い作品を上げる。SNSの枠内で完結するごく短いショートショートや、キャッチーな出だしの短編(リンクを張って本文がある別サイトへ誘導)なら読んでもらえるかも。
2.仕事や勉強で忙しい。
→忙しい中でもさっと読めて、ほっとできるような短編を提供する。忙しい人たちこそ実は心の癒しを求めているから、気に入られたら常連になってもらえる可能性が。発表の場はやはりSNSを入り口にするのがよさそうです。(こういう作品、漫画にはよくありますね)
3.歳を取ってきて視力低下などの健康問題で読めない。
→この年代にこそタブレットでの読書をお勧めしたいです! 確かに、老眼が進むと文庫本や新書の細かい文字が読めなくなります。これは私も日々実感しているのですが、タブレットならフォントサイズを変えられるので、読書も楽にできます! 電子書籍万歳です! 今はまだIT機器に抵抗がある高齢者も多いのですが、あと10年もしたら、パソコンやスマホ・タブレットをばりばり使用してきた中高年者が高齢者になるのですから、市場としては有望です。
4.おまけ
→小中学生が学校などで読書に親しんでいるのなら、大人になってからも本を読んでもらえるように、若年層向けの良質で面白い作品をたくさん提供していくのも大事ですよね。常に若い人たちを取り込んでいかないと、読書市場は先細っていきます。
さて、では私は?
まず、私自身は短編とは相性が良くないです。
私の作品は場面を丹念に積み重ねて物語を作り上げていくので、とにかく長くなります。短い作品が駆けるようになりたい、と努力した時期もありましたが、書き方が合わないのでストレスで続きませんでした。
文章自体は読みにくいとは思わないですが、「長文離れ」の時代ですから、やっぱりなかなか読んでもらえません。
だから私は短編で勝負するのはNGです。
短編の得意な方がうらやましい。
では、タブレットで中高年向けの電子書籍を発表するのはどうでしょう。
先日から『勇者フルート物語』シリーズの電子書籍化を始めたので、これは良い動きかもしれません。
ただ、この作品が中高年向けか? と考えると、う~ん……
ジュブナイル風ですからね。主人公たちは10代の子どもたちだし、BL要素もまるでないし。(あ、「中高年がBL読むの?」なんて思ったそこのあなた。それは決めつけですよ。元祖BL『風と木の詩』にリアルタイムで夢中になった世代は、現在もう60代~70代前半です。ただ、私はそっち方面の物語が書けないんです)
中高年にターゲットを絞った作品というのは、私にはちょっと難しそう。
逆に、子ども向きの作品としてどうかというと、これもかなり「?」だったりします。
『勇者フルート』はジュブナイル風と書きましたが、「風」であって、本当のジュブナイルではないんですよね。私自身、子ども向けの作品としては書いていません。
読んで楽しめる人であれば、子どもでも大人でも年齢を問わず大歓迎なので、全年齢型ということになるのですが。
結論から言って、読書離れの現状に対して、私はタブレットで読める電子書籍を出していくというのが精一杯の対策になります。
誰か、ぜひ中高年や子どもたちが夢中になるような面白い作品を発表してください!
本好きの人が増えて、長文も読みこなせる力が育っていけば、私の作品も読んでもらえるかも。(気の長い話ですが)
今は小説書きには大変な時代です。
それでも書くことが辞められなくて書いているわけですから、あきらめないで続けていきたいですね。
いつか時代がまた移り変わって、本(小説)がブームになる時代がやってくるかも──しれません。
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