　私が書いてきたのは異世界ファンタジーです。

　登場人物から舞台となる世界まで、すべて頭の中で考えた架空のもの。

　そこで起きる事件も、キャラクターが語ることも、言ってみれば「作りもの」なのですが……。

　文章に現実の「自分」が表れるなぁ、と書きながら痛感します。

　本当にこれは隠しようがありません。

　短編の場合は短いし、アイディア重視の作品も多いので、それほど書き手の素顔を見せないかもしれません。

　歴史物も、史実に忠実であろうとする書き手は、自分を出さないように努力して語り手に徹するかもしれません。

　けれども創作の作品の場合は、舞台が現代社会だろうが架空の世界だろうが、長編であればあるほど、作者の人となりを如実（にょじつ）に表します。

　楽観的か、悲観的か。

　他人に対して優しいか、冷たいか。

　社会的なものに興味があるか、人の心情的なものが好きか。

　論理的か、共感的か。

　今悩んでいるのか、悲しんでいるのかまで、まったく意識しないうちに作品の中に投影されてきます。

　まるであぶり出しのようです。

　心理学のテストにも、被験者に文章を書かせて、その心の状態を推し量るという検査方法があります。

　文章には、意識しているものも、意識していない深層心理にあるものも、浮かび上がらせる力があるのでしょう。

　だから、架空の物語を書いているつもりでも、作品を通じて作者の内面を強力に表してくるのですね。

　そう考えると、やっぱり自分の内面を磨く努力は大事なのだと思います。

　ありきたりすぎる話ですが、作者自身がいろんな経験や体験をして、たくさん感じたり考えたりすることが、やっぱり大切なのです。

「この人の作品はなんだか好きだな」と思ってもらえる作者になるために、自分磨きは続けていきたいですね。

　お互いに。

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『勇者フルート物語』シリーズ本編2作目「風の犬の戦い」の連載を開始しました。

　1作ごとに完結しているので、この話から読み始めても大丈夫です。

　ジュブナイル風の王道冒険ファンタジー『勇者フルート物語』。

　読んで楽しんでいただけたら幸せです。

「勇者フルート物語・2　風の犬の戦い」

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