第14話 ブレーンストーミング的議論のすすめ

 11章でひとまず毎日の更新を終えて、そのあとは「おまけ」として不定期に更新してきましたが、おまけの内容も増えていきそうなので、ちゃんと第○話とすることにしました。


 さて、今日のタイトルのブレーンストーミングとは、思考発展や問題解決のために、集団でアイディアを自由に出し合うというやり方です。

 実際にはいろんなタイプの人を集めるとか、テーマをはっきりさせるとか、批判せずに自由に意見を出し合ってそれを付箋に書き出すとか、ちゃんとしたルールがあります。

 でも、私が今回すすめるのは、ブレーンストーミング「的」な議論ディスカッションです。

 第8話で小説とステレオタイプについて書きましたが、このステレオタイプの見直しに役に立ちます。


 本物のブレーンストーミングは3人~10人くらいのグループでやるのですが、普段の生活でそんな人数はまず集まらないので、私はとりあえず「話し相手になってくれそうな人」をつかまえます。だいたいは旦那様です。

 見直したいこと、考えたいことが頭の中にあるので、それについて意見を尋ねますが、彼にしてみればけっこう唐突だろうと思います。


 今朝持ち出したテーマは

「ファッションでも食べ物でも、西洋のものは世界中に広まっているけど、それはどうしてなのかな?」

 でした。


「それは西洋が経済的に発展して世界中に植民地を広げたからじゃないか? そのことで西洋文化が一気に世界中に広がったんだろう」

 と旦那様。

 大学の経済学部出身なので、経済を念頭に意見を返してくることが多いです。


「それじゃ西洋が経済的に発展したのは何故? 産業革命があったから?」

「いや、西洋の植民地政策はそれより前の時代に始まってるだろう。海洋貿易で栄えていたんだ」

「だから西洋の国々はお金があったってことね。……じゃあさ、どうして中東の国々の文化はあまり世界に広がらなかったのかな? もちろんイスラム的な文化がヨーロッパに入っていったり、オリエンタルな文化がもてはやされたりはするけど、西洋的なものに比べたら圧倒的に少ないよね」

「まあ、世界に対する経済的な影響力は強いけどな。中東は今は石油で儲かってるけど、そもそもあまり豊じゃない場所だったからじゃないのか」

「あー、そういえば中東はかなりの割合が砂漠だ」

「農業とかの産業はヨーロッパほど発達できないだろうな」

「だから考え方も中東のほうが厳しいのかも……」


 とまあ、こんな具合のやりとりでした。


 ポイントは、私の中にもそれなりの考えがあるのだけれど、それを押しつけずに相手の意見をそのまま聞くこと。

 相手は私とは違うものの見方をしていることがよくあるので、私の考えが実は世間一般のものの見方に縛られた、ステレオタイプだったと気がつくことがよくあります。


 ステレオタイプに気がつくと、それを打ち破る思考ができるようになります。

 小説のネタを考えるのに、とても参考になります。


「中東のような場所があったとして、その文化が西洋文化のように世界中に広まっていたら、どんな世界になってるんだろう?」

「そうなるためにはどんな条件が必要?」

「中東は元々は自然厳しい貧しい場所。だとしたら、自然が豊かになる方法があれば、中東(的)文化はもっと世界中に広まるかな。技術とか魔法とか……」


 という具合に、自分なりの異世界を創造する足がかりになってくれます。


 ただ、これをやるのには、自分の意見を押しつけないことの他に、もうひとつ大事なポイントがあります。

 それは、話題を振る相手を選ぶこと。


 こちらが話題にしたことに対して

「なんだ、そんなこともわからないのか」

 と言わんばかりに馬鹿にしてきたり

「これはこういうことで、ああいうことで、ああなってこうなって、だからこういうことだから、それで……」

 とこちらの話をまったく聞かずに、自分の意見だけを展開する人とは、こういうやりとりはできません。


 小説の参考になるどころか、話を聞くことで疲弊ひへいさせられるし、マウントされて精神的に落ち込んだりするので、こういう人に話題を振るのはやめましょう。


 自分は、こちらの意見を押しつけずに、相手の意見をそのまま受け止めて聞くこと。

 相手も、こちらの意見を否定したり無視したりせずに、そのまま受け止めてくれる人であること。


 そこがとても大事なので、ブレーンストーミング的議論ディスカッションだと、私は考えています。


 良い議論ディスカッションができると、物語の幅が広がります。

 良い話し相手がみつかるといいですね。





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