第13話 作家はエコノミークラス症候群に注意!

 能登半島地震で避難生活を送っている被災者に、寒さ対策と一緒に、エコノミークラス症候群の予防がさかんに呼びかけられていますが。


 実は小説や漫画の作家にもエコノミークラス症候群の危険があるよね、と私はずっと考えていました。

 なにしろ長時間机に向かって作業をしていますからね……。


 若い方だとエコノミークラス症候群と言われてもピンとこないかもしれません。

 長時間同じ姿勢で椅子に座りっぱなしでいると、足のふくらはぎや太ももの血の巡りが悪くなって、血栓という血のかたまりができることがあります。

 それが立ち上がって動いた拍子に血管からはがれて体の中に送り出され、肺の血管に詰まれば肺血栓症に、脳の血管に詰まれば脳梗塞に、心臓の血管に詰まれば虚血性心筋梗塞になったりします。

 どれも命に関わるかもしれない怖い症状です。


 最近亡くなった漫画家の死因をネットで調べてみました。

 他の死因で亡くなっている方も多いのですが、心筋梗塞や心不全という診断名で亡くなっている漫画家も少なくありませんでした。

「銀河鉄道999」の松本零士、「風雲児たち」のみなもと太郎、「カオスだもんね」の水口幸広……古めの方で申し訳ないです……「スケバン刑事」の和田慎二……亡くなったのが最近でなくてごめんなさい。

 他にもまだまだいらっしゃいました。興味のある方は調べてみてください。


 漫画家と小説家は別? プロの作家とアマチュア作家とでは状況が違う?

 でも、漫画でも小説でも、長時間座りっぱなしで作業をするのだから、やっぱり体には良くないと思います。

 自分自身の体でそう思います。

 若い頃は何時間でも平気で座って小説を書いていたんですけどね。

 この年齢になってくると……。(苦笑)


 外で仕事をして、帰宅してからや休日に執筆している人は、まだ良いかもしれないですが、私のようにずっと家にいる人や、在宅勤務の人は、意識して体を動かしたほうがいいです。

 時々立って、コーヒーをれにいったり、トイレに行ったり。

 座ったまま足の指や足の裏を曲げ伸ばしするだけでも違います。

 エコノミークラス症候群なんて自分には関係ない、なんて思わずに、ぜひ定期的に体を動かしましょう。


 そうそう。

 立ったついでに背伸びをして、肘を曲げた状態で腕を回して、肩甲骨の周辺を動かすのもいいですよ。

 首もぐるぐる回すと、肩こりが楽になります。


 集中して執筆した後、ものすごく気分が落ち込んで、ネガティブなことばかり考える状態になることがあります。

「ああ、自分は全然書けてない」「なんて下手くそなんだ」から始まって、過去のいろんな失敗や至らなかったことを思い出して、ますますネガティブの穴にはまり込んでいく……。

 そんなことはありませんか?

 私はけっこうあります。


 あれは真剣に執筆しすぎて「脳が疲労した」状態なんですよね。

 脳生理学的に言うと、ずっと同じ姿勢でいたために、脳の血流が悪くなって、脳内物質のバランスが崩れて起きている症状。

 だから、首や肩をぐるぐる回すと、血流が良くなって、脳の血行も良くなる。

 その結果、気持ちも楽になってきます。


 それでも、気持ちが回復しなかったら?

 それは完全に脳がくたびれているというサインです。

 ゆっくり休みましょう。

 眠って、おいしいものを食べて、何か楽しい経験をしましょう。


 作家って、小説家も漫画家も、ストイックに机に向かって黙々と作業をするのが基本だから、やっぱり体に負担がかかるんですよね。

 心身が元気でなければ、良い作品も書けないだろうし。


 作家をするのには体がまず資本。

 私はそう思ってます。




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