プロローグ 2 古竜と精霊達
プロローグ 2 古竜と精霊達
「あれ?何かやばい事になっているみたいなのだ!」
古竜の末っ子の火竜のマチルダは、空気中の魔素が少なくなっていることに気がついた。
「マチルダも気づいたの?」
マチルダの姉、風竜のステーラも魔素の動きがおかしいと気づき空を見上げていた。
ここは、大陸のやや西側にある。ベルティンブルグ領の領都ベルン街の領主館の裏側の森林の中にある古竜の住みかである。
シュワワワワー!
ブーーーーーン!
ビュウウウウウン!
ぶうううん!
四柱の古竜は魔素の消費が少ない人の姿に変化した。
「この魔素の流れ・・・・・・かなり危険じゃ!」
古竜の最年長の水竜のリンダが慌てて叫んだ。
「結界をかけなきゃ危険なのよ!魔素が空気中からなくなるのよ!!!!!」
土竜のエアデは、バタバタと走り回り木々を倒している。
「みんな、エルーシアの作った魔導具と私達の魔力でベルティンブルグ領全てに結界を張るのじゃ?精霊達もここに移動してもらうのじゃ!」
「「わかりました。お祖母様(リンダ)」」
一柱の古竜は、アール山脈の頂にある北東の山へ。
一柱の古竜は、アール山脈の北西の山頂へ。
一柱の古竜は、海のあるオッドリア領に一柱が瞬間移動し、
一柱がベルンにとどまった。
そして、ベルティンブルグ領とオットリアの一部とその横のデュリングから北にあるアール山脈のさらに北にある奧にある湖までを結界に入れた。
それは、もともと古竜の4柱がエルーシアの為に作った線路と道路であった。古竜達は結界の基として、線路や道路を結界の境とし天までも届く結界を張るように照準を合わせた。
線路と道路は元々古竜の結界が張ってある。そのため線路と道路を媒体にすると魔素の消費率を下げる効果がある為である。
〈私はステーラなの。精霊のみなさま、緊急事態です。
ベルティンブルグ領にきてくださいなの〉
風竜のステーラは、念波を送り精霊達は、皆ベルティンブルグ内に来るようにお願いした。
精霊達も上位下位関係なく、良好な関係を持っていた古竜がバタバタと飛んだり跳ねたりする姿を見ていたため、危険を感じていた。
「古竜様。わかりました。瞬間移動します。
目的地点になにか印をつけてください」
「古竜様。連絡ありがとうございます。
私達は飛んでベルティンブルグに向かいます。近くにいるので、すぐに到着します」
これはただ事じゃないと思い精霊皆が素直にベルティンブルグに集まったのである。
〈お祖母様。精霊のみなさまに念波を送り連絡をしましたの。
瞬間移動する精霊達は、ベルティンブルグの場所がわらないようなの。
なにか目印を作ってほしいの〉
〈わかったのじゃ、ステーラ。ベルンの公爵の館の池に、水で作った水竜の像をつくるのじゃ。そこを目標にして移動するように精霊達に言うのじゃ〉
〈ベルティンブルグの方位と距離がわからない精霊のみなさま。いま水竜の龍神が、目的地点として龍神の魔素をたっぷり使った水像があるの。それを目標にするの〉
「「「ありがとうございます。古竜様。今から移動します」」」
〈ものすごい数の精霊が集まったのじゃ。ついでに魔物達も集めたのじゃ。
いまから、我、水竜のリンダ、土竜のエアデ、風竜のステーラ、末っ子火竜のマチルダ四柱で、ベルティンブルグ全体を結界で、魔素をとられないようにするのじゃ〉
そして四柱はまるで隣に竜がいるかのように声を合わせ
「「「「古からある我が古竜の能力(ちから)よ。我らの願いをこの大地とこの宇宙(そら)に大いなる壁を作り、結果を作れたもう!」」」」
古竜四柱で結界の呪文をとなえ、効力が効き始める少し前
「みんな、ひどいよ。僕も中に入れてよ」
大きな生き物がベルティンブルグ領地内に入って来た。
するとすぐに
ビカビカビカ!
どーーん
線路、道路の内側つまりベルティンブルグ領地内は、大きな透明な壁が現れ結界が張られた。
不思議なことに、ベルティンブルグからは、外を見ることが出来るが、ベルティンブルグの外からは中が全く見えない。
〈大変じゃみんな、人間や動物が何処かへ飛んでいっているのじゃ〉
リンダの言う通り、結界は、魔力量の少ない生き物を次々に結界の外に飛ばしている。
その瞬間 大地が大きく揺れた。
大地が揺れた原因は、魔導集中補充塔の四台は、ベルティンブルグ領にある魔導集中補充を残し、ゴゴゴゴーと大きな音をたてて、ゆっくりと地中に入っていったのである。
それは、砂漠にあったテレビ塔が砂に沈んでいくように。
ベルティンブルグ領の境で、結界を張った三柱の古竜は、領都のベルンで待つ、水竜のリンダに向けて飛び立った。
自分らの最後の同胞が結界内に入ったのを、魔力で感知しながら。
三柱は途中で合流し一緒に飛んだあと、三柱仲良く同時にベルンの魔導集中補充の前にいるリンダの前に着陸した。
火の古竜マチルダは、目の前の魔導集中補充を見上げた。
「お祖母様(リンダ)。他の魔導集中補充塔は、地中に入っているみたいなのだ」
「大丈夫結界はなんとかギリギリ間に合ったのじゃ。これで我らと、ベルティンブルグに住んでいる精霊は生き延びる事ができるのじゃ」
「それにしても、この現象は何故おきたの?」
風の古竜ステーラは、一瞬ギリギリに結界内に入って来た同胞を疑ったが、そんな悪戯をすることは無いと考えを改めた。
「どちらにしても、奴ではないのだ。
アホな人間が自分たちの文明を終わらしたのだ。
きっと、魔導集中補充塔の緊急停止ボタンを押したのだ」
人化のままのマチルダは、肩をすくめた。
「エルーシアに、どの様にしたらまた動き出すか聞いてくるのよ」
「エアデその必要なないのじゃ。
魔導集中補充塔の再起動をするのは、人間達にまかせるのじゃ。
きっとエルーシアか、ファリカの子孫達が動き出すのじゃ」
マチルダとリンダなど古竜が喋っている間にベルティンブルグにある魔導集中補充塔をぬかし、残りの四つの魔導集中補充塔が地中奥深くに入ってしまった。
魔導集中補充塔が大気のほぼ全てを吸収して地下に潜ったため、この大陸の空気中では、結界を張ったベルティンブルグ領地以外は、魔素がなくなり、魔法を使うことが出来なくなってしまったのだ。
「私達はそれを見守って、いざと言うときだけ手助けをすれば良いのだ」
古竜は、四柱とも大森林と聖なる湖の方をみていた。
邪悪な何かが移動しているように感じたのだろうか。
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最後までお読み頂きありがとうございます。
この物語には、基礎となったお話しがあります。
あわせてお読み頂けると幸いです。
聖女の紋章 ~公爵領の魔法幼女は女神の紋章を持つ転生者 ~
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