魔法がなくなったその先に 【聖女の紋章 外伝Ⅰ】
I。ランド
プロローグ1 魔導集中補充塔を使用不可にした、醜い貴族
プロローグ 魔導集中補充塔を使用不可にした、醜い貴族
「ウィルバード。貴方はこの世界を救う未来の希望。私達一族に初の男子は、この大陸を救うと代々言い伝えられていたわ。
この大陸に魔法を蘇える事が出来るのは、貴方だけ。
さあ旅立ちなさい」
母トリシャの声に、息子のウィルバードは、母と妹の遺恨を一端忘れ、オッドリアに旅立つことを決意した。
彼にとって二回目の旅は先祖代々の言い伝えにより決まったのだ。
「ブヒブヒ、この魔導集中補充塔を、我ら一族が管理すれば、我らの降格もなくなるはずだブー。
5つの魔導集中補充塔を全て掌握して、これを武器にしてフーマ国王や連邦と取引するだブー」
その豚・・・・・・ではなく、オーク・・・・・・でもなく、ブヨブヨにたるんだお腹、女性より豊満な胸をした、降格間近な領地持ちの貴族のデブ・・・・・・ではなく、貴族でも上位に位置する侯爵家の当主は、魔導集中補充塔を見上げて鳴いた・・・・・・じゃなく、声をあげた。
このデブ ゴホン。侯爵様がいるところは、フーマ王国のフーズ(王都に当たる街)のずっと東にある妖精のエルフが住む聖域と呼ばれる『大森林』と精霊が住む聖域と呼ばれる『聖なる湖』の境界にある集中補充塔の最上階である。
侯爵の爵位を持つヒムラーは、代々主流派と反する政治対応を行ってきたが、ここで大失態をしてしまったのだ。
その失態とは、自身の領民達にクーデターを起こされたのである。
貴族の主流派は、『宗教の行き過ぎは、国を滅ぼす』と考え、宗教はあくまでも政治とは、別にするべきと考えている。
その証拠に数百年前に宗教国家が、大公爵家に戦いを挑んだが、宗教国家の者達は、大公爵の領地の繁栄を見て、驚愕し戦うのを諦める兵が多く出て、真剣に戦う者は、ほぼいなくなった。
大侯爵の孫の軍隊いや、大公爵の孫の仲間達だけで、一人の犠牲もなく、戦いを終わらせたのである。
大公爵の孫は、幼い頃は、領民に聖女と呼ばれ、少女になった頃には、国内で聖女様。その後には女神様と大陸全体に言われる程の女性であった。
その孫が『宗教の教え、またはその考えを、自身の立場を良くするために歪曲し強引に歪曲した考えを周りに刷り込み、解させるようにする。そしてその歪曲した考えは自分たちとは違う宗教観を持つ者達に戦争を起こしてまで、己の宗教の教えが正しいと(自分たちが正しいと)武力行使するのは間違っている。
または、考えが違うからと政治を利用して、考えの違う人間を迫害するのもおかしい。
貴方たちの教えが本物であるのなら、ベルティンブルグ大公爵領の領民よりも幸せな生活を送れるようにしてみなさい
と教皇に言い放った、その後教皇は頭を下げ、その宗教を解体したのである。
それから約200年ヒムラー侯爵は、隣の大陸から来た宗教家の口車にのり、自分の領地でその宗教を手厚く保護したのである。
そしてわずか数年で、領地内で政をつかさどる役職を宗教家で独占され、クーデターまで起こされたのである。
女帝はヒーナ商会の武器や食物を使い見事クーデターをおさめた。
当然クーデターを起こされたヒムラー侯爵にその責任を問うたのである。
国議会のヒムラー侯爵家の評価は、ヒムラー一族は代々、連邦フーマ王国どちらにも政治的にも武力的にも貢献することがなかった。
しかも、宗教と政治は分離することを国家として推していたのだが、彼らはそれを破った上に、クーデターである。政治家としては、終わったとしか言えない。
そのこともあり、今回の責任をとらせると言うことになり、領地を三分の一以下にし、現当主の首を斬り、当主を変え男爵まで爵位を降格させる事が決まったのだ。
ヒムラーは
「首を斬られるくらいなら、もう一か八かの賭けをしてやるブー。
魔導集中補充塔を抑えれば、王国や皇国でさえも私の言うことを聞くはずだブー」
そうして彼は、本来は黄色のボタンを押して魔導集中補充塔を停止しようとした。
ボタンを前にヒムラーの手はプルプルと震えていた。
そして狙いを定めてボタンを押そうとした瞬間
「動くな、ヒムラー!!!」
国の治安を守る衛兵に声を変えられた瞬間
ポッチ とヒムラーは赤色のボタンを押したのだ!
「うわわわわわ! 急に声をかけるから間違って赤色のボタンを押してしまったぞ。一体どうなるんだ!!!」
しーーん!
ヒムラーと衛兵は左右、上下と色々とみたが、特に何も変わることは無かった。ボタンを押してしばらくしたが、全くなにも変わることが無かったのである。
衛兵は何も変わらなく「ふぅ~」と息を吐いた瞬間
魔導集中補充塔が、赤、黄、緑、紫、青と次々に色を変えた。
だが、その他に変化は特にないように見える。
しかし、魔導集中補充塔は大陸の空気中の魔素を吸い上げていたのである。
森林や草原などでは、魔素を必要とする魔物達がバタバタと倒れはじめたのである。
そのとき、ヒムラーは、呪符を剥がしてしまったことに気づかなかった。
そこからは、黒く怪しく光る石と複数の水晶のように白く輝く石が、この地より飛び出し空一面に広がった後、姿を消した。
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この物語を見つけて頂きありがとうございます。
作者のI。ランド(幸之丞)と申します。
聖女の紋章 ~公爵領の魔法幼女は女神の紋章を持つ転生者 ~
私の物語の数百年前のナーロッパのお話しです。
今日は、プロローグの2話目を公開いたします。
前作より、ノリとテンポが悪いかも知れませんが、I。ランドの世界観を今後もお楽しみ頂けると幸いです。
一月末にお話しを終わらせる予定です。
お話しが終わるまでよろしくお願いします。
聖女の紋章 ~公爵領の魔法幼女は女神の紋章を持つ転生者 ~
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330665364694256/episodes/16817330665364779514
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