終話 終わらない赤ペン
今日も顔の見えない誰かが悪口を囁き、俺に赤ペンが追加されてしまう。
だから赤ペンは増え続ける一方で、消える事がない。俺は何もしていないと言うのに……。
もううんざりだ。面白そうに書き足していく赤ペン、消えないで見続けなくちゃいけない文字に、俺はもうつかれてしまった。
どこまでいけば、俺のコレは消える……? お前達は、いつになれば、面白おかしく論うのを辞めるんだ?
俺はもうこんな風になったのに……こんな惨めな思いを抱えながら一生生きていかなくちゃいけないのか?
……俺が死ぬまで続くのか?
嗚呼、きっとそうだ。終わらせるにはそれしかないんだ。
過酷な現実を噛みしめたその時、俺はハッとある事に気がつく。
俺も人を辞めれば、この不幸から抜け出せると言う事に。誰かに赤ペンを刻む事が出来ると言う事に……!
突然差し込んだ光明に、俺はハハハハハッと高らかに哄笑する。
そしてガラリと勢いよく窓を開け、大笑いしながら叫んだ。
「俺をこんな風にした全員に、赤ペンを付けてやるよ!」
力強い宣誓と共に、俺はバッと勢いよく飛び出した。
まだまだ赤は、終わらない。
貴方に赤ペンを付けてあげますよ 椿野れみ @tsubakino_remi06
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます