第11話「家で練習してください」が出来ない件について

 わたし、手先は器用だと思っておりましたが(裁縫も編み物も得意です)、どうも紐掛け(ケーキ箱にかけるあのリボン)や包装作業は苦手なようです。

 いや、苦手だという自覚はありました。

 リボン結びは出来ます。

 でも、ゆるゆるになるのです。

 ダンボールを結ぶときもゆるゆるなんです。だけど、特に問題はないので、そのままゴミに出していました。


 ケーキ箱にリボンをかけます。

 ゆるいらしいです。自分ではそこまでひどくないと思っていても、ベテランさんから見ればゆるいのです。

 古参のHさんに言われました。

「これはもっときつくないと」

 直されました。そして言われました。


「家で練習した方がいいわね」


 無理です。

 心の中で即答しました。

 何しろ、わたしは家では自営業の仕事があり、家事もあるのです。紐掛けの練習している時間はありません。


「家で包装の練習もしてください」

 オーナーさんにも言われ、一式渡されました。

 もちろんしていません。

 何しろ、わたしにはカクヨムをするという使命があるのです!(間違い)


 念のため書いておきますと、仕事を始めた最初の方に練習の機会は与えられました。そのときはなんとなく出来るようになりました。

 しかし、毎回うまく出来るわけではありません。それにしばらくやっていないと、うまく出来なくなるのです。


 どうもわたしは、器用だと思っていたけど、さほどではなく、紐掛けをすることや包装することはうまく出来ないジャンルのようです。これも「いつまで経っても仕事が出来ない」と言われる所以です。ええ、すみません、わたしが悪いのです。

 

 わたしの三カ月前に入ったMさんは「家で練習しました!」と言っておりましたし、このMさんは仕事が出来るのです。

「西さんとMさんは入った時期はほぼ変わらないのに、Mさんは出来るのに西さんはどうして出来ないんですか?」

「入った時期が変わらないから、同じくらい出来ていいのです」

「Mさんは出来るんですよ? 西さんはいつになったら出来るんですか?」


 わたしが入ったとき、既にMさんは仕上がっているように見えました。三カ月の差は大きいと思うのです。いつもMさんと比べられ、けなされます。

 ところで、Mさんは若いのです。そして独身です。

 家に帰って家族の面倒みなくていい人と一緒にされても困るなあと、わたしは思うのです。


「家で練習してください」

「はい」と言いつつ、全くやっていません。

 何しろそのような時間はないのです。


 カクヨムやりたいのです、わたしは(!)。



 ええ。

 わたしがいけないのですよ?


 だけど、わたしは、わたしの心の安息時間を削ってまで、紐掛けのや包装の練習をする気はないのです。

 大変申し訳ありません。

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