第10話 そこは機械での処理を熱望したい件について

 ケーキ屋さんはPayPayは使えるけれど、なんちゃらPayは使えません。


 ところでしまこはクレジットカードは使いますが、Pay関連の電子決済は一切やっておりません。存在は知っておりますが、使い過ぎが怖いので使わないことにしています。ポイント還元というのも嫌いなのです。ポイント還元して何がしたいのだろう? 電子決済を普及させたいのだろうか、それはなぜ? と考えてしまうのです。


 さて、Payについて。


 ある日お客さんが「PayPayで」というので、PayPay処理の画面を出しました。お客さんはバーコードを出して、ぴっと決済をしました。

 利用明細が出て来たとき「au Pay」になっていました。あれ? と思いましたが、何しろしまこは電子決済を一切やっていないし、何より機械でエラーが出なかったし決済は済んでしまったので、深く気にせずそのままでいました。


 翌日、オーナーさんに言われました。

「西さん、昨日はどうしてauPayで決済したんですか?」

「え?」

「うちはauPayはやっていないんです」

「……」(でも、機械通りました。)

「ちゃんと、お客さまの画面を見て確認してください」

「すみません、PayPayもなんとかPayもやっていないので、画面が分からなくて。でも、ちゃんとバーコードの画面でした」

「auPayはバーコードにちょっと赤い画面、PayPayは赤い画面。分かりますよね?」

 オーナーさんは画面を見せながらお話ししてくれましたが、わたしには同じような画面にしか見えませんでした。赤と青なら分かりやすいのに。

「……はい」

 怒られるので「はい」と言いました。

「今後はお客さんの画面を覗き見て、注意してください」

「でも、お客さまのスマホを覗き見るのは失礼に感じるんです」

「見てください」


 でも、手元で操作してぱっと画面に近づけたら、処理されてしまいます。どうやって判別していいのか分かりません。

 そして、PayPayとauPayの画面も似ているのに、他のPayもあるでしょう? 複数のPayの画面を瞬時に見て判別出来るようになれるとは思えません。

 見分けるのは難しいです。たぶん、出来ません。

 そして、画面を覗き込むのは、わたしには至難の業です。

 何しろ、お客さまがPayの画面を用意しているとき、わたしはQRコード決済画面の準備をしているからです。



 機械の方で、使えないPayは受け付けないようにして欲しいのです。

 読み込んでしまったら、訂正も難しそうです。


 ちなみに訂正の仕方は教えてもらっていません。



「西さんもこういう仕事をするなら、自分で使ってみてください、PayPay」

 嫌です。

 心の中で拒否をして、曖昧に笑って誤魔化しました。


 

 レジのミスはしたことがないと言いましたが、この1件はレジのミスでしょう。

 すみません。

 まさか、「使っていないのです」というものが機械を通るとは思わなかったのです。


 機械で使っていない機能は通らないようにするか、もしくは「PayPayの画面を見せていただけますか?」と聞くようにするか、どちらかにしていただきたいものです。

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