第9話「ふつうにして」が難しいわたし

「ふつうでいいから」

「ふつうに仕事をして」


 ……「ふつう」って何なんでしょう。

 仕事をしている状態で「ふつう」指示が来るとは想定外でした。

 いや、今までの勤務先で「ふつうに仕事して」などと言われたことはありません。


 ケーキを箱に詰めて、売ること。

 これは出来ていると思います。

 ケーキの詰め方もうまくなりました(たぶん)。

 

 しかし、オーナーさんに「西さんはときどき信じられないことをする」と言われます。わたしは、わたしの何が「信じられない」行動なのか、分かりません。何しろそこは教えてくれないのです。いつも抽象論で怒られます。

 でもきっと「ふつう」ではないのでしょう。

「ふつうにして」と言われるのですから。


 ケーキ屋さんにおける「ふつう」ってどんなことなんでしょう? と思います。

 わたしには分かりません。

 

 ともかく、毎日オーナーさんと古参のHさんの厳しい監視下にあり、思う通りにやっていると怒られる日々です。「ふつうに」出来ていないようです。


 ずっと「何が『ふつう』なんだろう?」と考えています。

 たぶん、「ふつう」の人はそんなこと、考えないのです。

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