第48話 調査依頼 【晴天の四象】Side
ユーリとの修行を終えた後。
【晴天の四象】一行は、招集を受けて冒険者ギルドにやってきていた。
「よく来てくれたな」
彼女たちを迎えてくれたのは、ギルドマスターのレヴィン・ジオネルスター。
こうして顔を合わせるのは、魔脈の暴走を解決した後、事の顛末について報告して以来だった。
すると、アリシアが代表してレヴィンに応じる。
「いえ。それで、本日はどういったご用件ですか?」
「先日から続いている、森の異変――魔脈の暴走についてだ。改めてこちらで色々と調べてみたところ、その原因と思わしき答えに辿り着いた」
「っ」
原因というワードを聞き、【晴天の四象】の面々――特にアリシアとティオが真剣な表情を浮かべる。
そんな彼女たちに対し、レヴィンは続けた。
「まだ推測の域を出ないところ悪いが、結論としては、何者かが森で実験をしていたんじゃないかと予想している」
「実験……ですか?」
「ああ。実はここ最近、【デッドリーの大森林】に限らず各地で似たような現象が起きていたんだ。そしてその中心に、ある国があることが判明した」
そう言って、レヴィンは大陸の地図を取り出すと、机に大きく広げた。
そして次々と、似た事件が起きたという地点に印をつけていく。
その中心には確かに、一つの国が存在していた。
「ここは……」
アリシアの呟きに、レヴィンはコクリと頷く。
「新興国ファーイースト――シルクード公国を前身とし、たった数か月前、異常な実力を有する者たちによって突如として作られた国家だ。有力者が外に出てこないせいで謎が多く、未だにその内情が判明していない国ではあるが……とにかく、俺や国王陛下はここに原因があると結論を出した」
「――――」
シルクード公国に、国王陛下。
アリシアにとっては馴染みのあるワードが次々と飛び出したこともあり、彼女はわずかに目を細めた。
そんなアリシアを見て数秒ほど言葉を止めた後、レヴィンは続ける。
「そして、ここからが本題だ。【晴天の四象】には直接現地に向かい、この国の内部調査を行ってほしい」
「……潜入捜査ですね。しかし、大丈夫なのでしょうか? そういった疑いがかけられているのなら、外部の人間を嫌って警戒される可能性も……」
「そこについては問題ない。つい最近になってだが、ファーイーストは他国との交流を盛んにおこなうようになった。観光業に力を入れており来るもの拒まずといった方針を掲げた方か、特産品を他国に売り出してもいる。今ならこの町の市場にも、幾つか商品があるはずだ」
「そうなのですね……」
考え込むアリシア。
事件の重大さ、パーティーの得意分野が魔物退治であること、活動場所が他国内であること。
全てを鑑みて、受けるべきかどうかを考慮する。
(諸々の状況からして、少しきな臭さのようなものを感じてしまいますが……)
そんな風に悩むアリシアに向け、レヴィンは付け足すように告げる。
「ちなみにだが今回の依頼はギルド及び、国王陛下からのものでもある」
「――――!」
「それを踏まえて、俺としてはぜひ【晴天の四象】に受けてほしい」
それはアリシアにとって、この上なく重要な情報だった。
それこそ、今すぐにでも頷きたくなるほどに。
ただ、依頼は個人ではなくパーティーに対して出されている。
受けるのであれば、他の三人を巻き込んでしまう形になるが……
「皆さんは、どう思いますか?」
様子を窺うように尋ねるアリシア。
対し、三人は悩むことなく答える。
「アタシたちに遠慮なんかしなくていいっての。もう答えは決まってんだろ?」
「そうね。リーダーである貴女が決め手ちょうだい」
「新興国、興味深い」
「……ありがとございます。セレス、ティオ、モニカ」
決断したアリシアは前に向き直り、そして力強く頷く。
「承知しました。新興国ファーイーストの内部調査依頼、謹んでお受けいたします」
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異世界に転生したけど魔力0だったので、1000年間剣技を鍛えてみた ~自分を低級剣士だと思い込んでいる世界最強は無自覚に無双するようです〜 八又ナガト @yamatanagato
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