最終話 夢を叶える
峯田の下について社員にしかこなせない仕事を教えてもらう日々だった。
やっと機材も揃って僕は配信業をスタートすることとなる。
空いた時間でゲーム実況や挨拶配信、雑談やASMRなどなど。
様々なことに挑戦しては失敗を繰り返していた。
けれどここで諦める訳にはいかない気がしていた。
でも別に有名になる必要が何処にあるのだろうか。
漠然とした夢を追いかける必要が何処にあるのだろう。
ゴールも見えない夢を追い続けることに果たして意味はあるのか…。
僕はそんな事を思ってしまう。
それでも…。
そうして僕はこれからも夢を追うことを心に決めるのであった。
時は流れて。
社員になって一年が経過しようとしていた頃。
峯田は僕の元を訪れると耳打ちするように口を開いた。
「観てるよ」
意味深な言葉に僕は首を傾げるのだがすぐにその言葉の正体に気づくことが出来る。
「あぁ〜…そうなんですね…おすすめに出てきた感じですか?」
「うん。ある日…突然見かけてね。そこからは過去のアーカイブを見たりして追ってるよ」
「ありがとうございます。知り合いに観られるのは恥ずかしいですが…」
「良いじゃない。結構人気みたいだし恥ずかしいことはないでしょ?」
「そうなんですかね…でも観ていただいて嬉しい限りです」
「うん。夢を叶えたって言っても過言じゃないでしょ?」
「そうですかね…そうだったら嬉しいです」
「うん。これでやっと話せるね。夢を叶える姿が想像できたから…私は加藤くんに甘かったんだと思うな。無謀な挑戦じゃないって理解していたから…ずっと応援していたんだよ。これで三つ目だね」
「そうだったんですね…それは知りませんでした」
「うん。それでね…」
峯田は言いにくいことでもあるかのように軽く俯くと再度耳打ちをしてくる。
「全部の理由を話したら…付き合いたいって思っていたの…ダメかな?」
「ダメって…」
「だって…有名になった途端に告白してくるとか…信用出来ないんじゃない?」
「そんなことはないですけど。今までの関係性もありますし」
「そう…じゃあどうする?」
試すような峯田の問に僕は深く頷いた。
「喜んで。僕ももう誰かとお別れするのは勘弁なので」
「そっか。良かった。じゃあこれからよろしくね」
「はい。こちらこそ」
そうして僕と峯田沙里は交際をスタートすることになる。
遠い未来では僕は配信業一本で食えるようになっていた。
夢を叶えたと言っても過言ではないだろう。
峯田は仕事を辞めることもなく僕と共に一緒に稼いでいた。
そう。
僕らは遠い未来で結婚をする。
いつまでも離れないで過ごす僕と峯田はきっとずっと縁で結ばれていたのだろう。
最期の時まで離れない僕らは…。
いつまでも幸せに過ごすのであった。
完
アルバイト先の美人社員が僕にだけ甘い三つの理由とは…?僕視点では謎すぎる日々… ALC @AliceCarp
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。