第4話社員になる

ある日の仕事中。

「加藤くんも社員にならないかって話が出てるんだけど…」

峯田は僕にその様な誘いの話を持ち出した。

「え?ホールのですか?」

「そう。もう長いでしょ?だからバイトじゃなくて社員にって…。でも夢があるもんね…」

「そうですね…でも良い話なのは間違いないですが…」

「うん。一応考えておいて?もしも社員になったら私の下につくって感じになるだうけど…」

「そうなんですね。覚えておきます」

そうして僕らは本日も仕事に集中すると各々が帰路に就くのであった。



帰宅した僕は配信業について様々な記事を読んでいた。

だが僕はそれで成功することが出来るだろうか。

やってみないと何事もわからないのは確かだ。

けれど僕にも時間というものが存在している。

限られた時間の中で僕は一生を生きていかなければならない。

少しでも無理だと感じているのであれば…。

そんな想いが脳裏を掠め取って頭を振る。

しかし良いアイディアの様な物が脳内に振ってきて…。

僕は就職することを決めるのであった。



「この間の話。受けようと思うんです」

峯田にそう言って応えると彼女は表情を明るくさせて微笑んだ。

「でも…夢の方は?諦めるの?」

その言葉に僕は首を左右に振った。

「夢も追い続けます。空いた時間でそれをやればいいだけの話なので」

「そう。そんな加藤くんにだから…私は憧れのようなものを抱いているんだと思う」

「憧れ?」

「うん。夢を追う姿は美しいから…甘い理由の二つ目だね」

峯田は照れくさそうにそう言うと顔を隠すようにそっぽを向いた。

「そうですか…光栄です」

「うん。どっちも頑張ってね。今度社員の契約するから。時間空けておいてくれる?」

「はい。大体空いているので。いつでも」

「良かった。これでまだ加藤くんと一緒に居られるよ」

「そうですね…僕も離れないでいられて嬉しいです」

「うん…ありがとう」

そんな他愛のない会話を繰り返した僕らは本日も閉店まで仕事に追われるのであった。

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