第54話 side 琴葉15

 自己紹介をしただけで即採用が決まってしまった私は、遥先輩に色々教えてもらう。

 店内には常連らしい老夫婦と近所のママさん達が居る。

 今ホールには店長さんと鈴原さんが出ており、私は遥先輩にキッチンで軽食の作り方を教えて貰っている。


「軽食って言ってもほんとに簡単なものしかメニューにないから」

「そうなんですか?」

「元々店長のお祖父さんが一人でやってたお店らしいからね」

「なるほど」

「じゃあまずはサンドイッチの作り方から教えていくね!」

「はい!」


 早速遥先輩が作り始めたのを横で観察する。

 と言ってもそんなに難しくはない。


「パンにマヨネーズを薄く塗ってハムレタスハムの順番で乗せて、片面にマヨネーズを薄く塗ったパンを乗せて斜めに切ったら完成!」

「とっても簡単ですね」

「でしょ?」


 その後、ポテトサラダのサンドイッチとツナマヨのサンドイッチの作り方を教わった。


「とりあえず軽食はサンドイッチが三種類と土日限定でナポリタンがあるの。ナポリタンはまた土曜日に来た時に教えるね」

「はい!お願いします」

「で、次にデザートなんだけど、まずはフレンチトースト。これは冷蔵庫に漬けたのが冷やしてあるから焼いて提供します」

「なるほど」

「次が、パンケーキ。これも生地が冷やしてあるから焼いて、上にアイスを乗せて提供します」

「ふむふむ」

「最後がプリン。これは店長さんが朝作ったのを冷蔵庫に冷やしてあるからそのまま提供すれば大丈夫」

「美味しそうですね」


 デザートもどれも簡単だった。

 最後は飲み物かな?


「で、飲み物なんだけど、コーヒーは基本店長が淹れるからそれ以外。って言っても、コーヒー以外の飲み物ってあんまり注文来ないんだけどね」

「そうなんですね…」

「この喫茶店に来るの基本常連さんだけだから」

「なるほど…」

「あとは実際にやりつつかな」

「わかりました!」


 軽食の作り方などを教わった後は、ホールの方へ移動してテーブルの片付けなどを教わる。これもそんなに難しいところはない。


「暇な時は掃除したりとかあるんだけど…」

「ごめんね、もうやっちゃった」

「いえいえ、ありがとうございます!」

「今日は鈴原さんも居るし、お客さんも少ないから…お客さん帰る時にレジ教えるね」

「はい!」


 そこからは接客について教わったりしながら、お客さんが帰るタイミングでレジを教わったりした。


 気付けば結構な時間が過ぎていた。


「二人とも休憩入っちゃって」

「は〜い!」

「はい!」

「店長!注文お願いします!」

「はいはい、何食べるの?」

「ポテサラサンドとプリンお願いします!あとコーヒーも!」

「琴葉ちゃんはどうする?」

「え、えっと…ツナマヨサンドをお願いします」

「あとは?」

「では…私もプリンとコーヒーを」

「はいよ。すぐ持ってくるからね」


 遥先輩と少し雑談をしていると店長さんがトレーを持って戻ってきた。


「お待たせ」

「ありがとうございます!」

「ありがとうございます。先輩、サンドイッチ一つ交換しませんか?」

「いいよ?んっ、美味しいね!」

「はい!とっても美味しいです!」

「ありがと」


 サンドイッチとプリンを食べて、コーヒーを飲みながら遥先輩とおしゃべりしているとあっという間に休憩時間は終わってしまった。

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