第43話 side琴葉13

 リビングで遥先輩とまったりしていると、湯上りの雪お母さんが来た。


「遥、お風呂入っちゃいな」

「は〜い!琴葉ちゃんどうする?」


 最近はいつも一緒に入っているから先輩がどうするか聞いてきた。


「あ、琴葉ちゃんと少し話したい事あるから遥一人で入ってきな」

「むぅー。しょうがないな〜」

「ごめんね!」

「琴葉ちゃん!早目にお話終わったら来てね!」


 そう言って先輩は先にお風呂へ行ってしまった。

 残された私は雪お母さんと向き合う。


「そ、それで…お話って…」

「そんなに緊張しないで!」


 気付けば雪お母さんに抱き締められていた。

 でも、なんだろう?先輩に抱き締められた時の様な安心感とかがない。


「やっぱり私じゃダメみたいね?」

「えっと…?」

「ふふふっこっちの話よ。それでね、話したい事なんだけど、琴葉ちゃんのご両親についてよ」

「あっ…」

「琴葉ちゃんから話を聞いた感じ、本当のお母さんについてはこの際置いておくわ。それでなんだけどお父さんの連絡先を教えて貰えないかしら?」

「えっと…教えるのは大丈夫ですが…どうして?」

「琴葉ちゃんのご両親が琴葉ちゃんの事をどう思っているにしろ、琴葉ちゃんはまだ未成年なの。だからきちんと話をつけておかないとね?安心して、悪い様にはならないわ」

「わ、分かりました」


 私はこの前あの人に渡されたお父さんの連絡先を雪お母さんに教えた。


「後のことは大人に任せてね?」

「お願い…します…」

「それじゃあ難しいお話はお終い!ここからは楽しいお話をしましょ!」

「えっと…」


 どうしよう…先輩お風呂で待ってるし…。


「もう少しだけお母さんに付き合ってくれない?」

「は、はい…」


 雪お母さんは押しが強い。そこは先輩と似ている。


「じゃあまずは…遥のどんなところが好きなの?」

「えっ!?」

「ほらほら、教えてよ〜」

「ぜ、全部です…。顔も、優しいところも、ギュッてしてくれるのも…」


 先輩との今までを思い出しながら好きなところを上げていく。


「ふふっ本当に遥のこと大好きなのね?」

「え?」

「琴葉ちゃん、今凄い幸せそうな顔してるよ?」

「っ!」

「こんなに好かれてるなんて遥も幸せね!」

「うぅ……」


 恥ずかしくなって俯いていると雪お母さんが頭を撫でてくれた。

 撫で方が遥先輩に似ていて、少し安心する。



 私はその後も雪お母さんと色々お話をした。

 逆上せた先輩がフラフラでリビングに戻ってくるまで。


「こ、琴葉ちゃん…待ってたのに…なんで…来てくれないの……。うぅ……」

「ご、ごめんなさい!」

「遥とりあえずお水飲みな!」

「ありがと…お母さん…。んぐ…んぐ…ぷはー!」

「遥先輩…大丈夫ですか?」

「大丈夫!あ、琴葉ちゃんお風呂空いたから入っちゃって!」

「はい!」


 先輩に促されお風呂へ行く。

 いつもと違う脱衣場に少し緊張しつつ服を脱ぐ。湯船に使って脱力する。


「ふぅ〜。気持ちいい〜」


 気持ちいい。しかし何か物足りない。

 最近はずっと一緒にお風呂に入っていたので、遥先輩が居ないことに寂しさを感じる。

 ついさっきまで話していたというのにもう会いたくて仕方がない。

 湯船に浸かるのもそこそこに、身体を洗い髪を洗う。

 もう一度湯船に浸かって少し温まったら、湯船から出てタオルで身体を拭く。

 脱衣場へ移動し、先輩とお揃いの寝間着に着替える。

 そして髪も乾かさずに先輩の待つリビングへ。


「遥先輩!」


 私は遥先輩に抱き着く。


「琴葉ちゃん!?」


 先輩は驚きつつも優しく抱き締め返してくれた。


「琴葉ちゃん髪乾かさないと風邪引いちゃうよ!乾かしてあげるから一旦離れて?」


 ソファに座る遥先輩の足元に座り髪を乾かしてもらう。


「気持ちいいです」

「良かった!」


 髪を乾かしてもらったあとは、遥先輩の脚の間に座って後ろから抱き締めて貰う。

 少ししてそろそろ寝ようという事になり、寝室へ移動する。


「遥先輩…少し強めにギュッてしてください…」

「こうかな?ギュッ…」

「んっ…ありがとうございます…。遥先輩…おやすみ…なさ…い」

「おやすみ。琴葉ちゃん」

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