第40話
「辛かったわね…これからは私にたくさん甘えていいからね?私の事お母さんと思ってくれていいからね」
「は、はい…ありがとうございます…雪さん」
「お母さんって呼んでみて?」
「え、えっと…ゆ」
「お母さんって呼んで?」
「あ、あの……お母…さん」
「ふふふっ!新しく娘が増えたみたいね!」
「あー!お母さんダメだよ!琴葉ちゃんは私のなんだから!」
琴葉の事情を聞いた雪は、琴葉を抱き締め我が子のように可愛がっていた。
それに気付いた遥が、雪から琴葉を引き剥がし抱き締め、琴葉の顔を自身の胸に押し付ける。
「せ、先輩!?あっ……んぅ…」
驚きはしたものの、連日抱きしめてもらいながら寝ていた影響か、脳が条件反射的に睡眠を求める。
「せん…ぱい……ダメ…です」
「あ、琴葉ちゃん、ごめんごめん」
「あら、大丈夫?」
「だ、だいじょぶです…」
「いつもギュッてして寝てるからね〜。最近はギュッてするとすぐ寝ちゃうし」
「一緒に寝てるの?」
「あ、そうそう!事後報告になっちゃうんだけど、元々部屋が隣同士だったんだけど、琴葉ちゃんに行ったり来たりさせるの可哀想だったから一緒に住んでるの!それでね!新しいベッド買ったの!」
「んー。遥、そういうのはちゃんと事前に相談して?そうしたらお金出すとかも出来るから」
「あぅ…ごめんなさい…」
「まぁ、二人で住むのは全然構わないわよ。ちゃんと協力するのよ?」
「もちろん!って、琴葉ちゃんホントに寝ちゃった…。お布団連れて行ってあげた方がいいかな?」
「幸せそうな顔で寝てるし、そのままでいいんじゃない?少し体勢変えてあげれば。ちょっと待っててね」
「そうだね!」
「はい、ブランケット」
「ありがとお母さん!」
遥に抱き締められていた琴葉は気付けば寝てしまっていた。
そのままでは起きた時に身体が痛くなってしまうかもしれない。
そこで遥は琴葉を横に寝かせ、頭の下に太腿を入れた。
そして雪が持ってきてくれたブランケットを掛けてあげる。
「琴葉ちゃんにとって安心できる場所なんだね。なんだか嬉しくなっちゃうね!」
「そうね、和人さん!」
「えへへ〜///」
「あ、そうだ!遥、後で琴葉ちゃんを甘やかすテクニック教えてあげるわ!甘やかして甘やかしてトロトロにしちゃいなさい!」
「えっ、それ大丈夫なやつ?」
「もちろん大丈夫よ!私が和人さんにやってた事だから!」
「………逆に不安だよ」
「なんでよ!」
「だって…お父さん仕事以外全然ダメダメじゃん」
「うぐっ…」
「琴葉ちゃんは元がしっかりしてるから大丈夫よ。琴葉ちゃん人に甘えるのとか苦手そうだし、遥がいっぱい甘やかしてあげるのよ」
「うん!任せて!」
その後遥は時折和人を使って実演しつつ甘やかしのテクニックを雪から教わった。
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