第37話

 無事鍋の具材を買った三人はマンションへ帰って来た。


「ただいま〜」

「ただいま」

「お邪魔します」

「みーちゃん!私と琴葉ちゃんは着替えて来ちゃうからリビングの炬燵で寛いでて!」

「…了解」


 リビングに三咲を残し寝室へ移動する遥と琴葉。

 一方遥に言われた通り、炬燵の電源を入れ腰を下ろした三咲は周囲を見回した。


「ホントに二人で住んでるんだなぁ…」


「きゃっ!?先輩!」


「何やってんだはるは…」


 寝室の方から聞こえてきた琴葉の嬌声に呆れる三咲。


「にしても、いい部屋だよなぁ…」


「みーちゃんおまたせ〜。すぐ準備するね!」

「狭山先輩、何かお飲みになりますか?」

「ん?そうだね。貰おうかな」

「お茶でも大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ!ありがと」

「いえいえ、遥先輩も何か飲みますか?」

「同じので大丈夫だよ!」

「分かりました!」

「狭山先輩どうぞ」

「ありがと」


 琴葉はお茶を入れたコップを3つ持ってきて、一つを三咲に渡すと残り二つは定位置の前に置き、腰を下ろした。


「白菜と〜お肉を切って〜交互に挟んで〜お鍋に敷き詰めて〜」

「テンション高いなあいつ」

「狭山先輩が居るからですかね」

「んーそれはないだろ。最近のはるは口を開けば柊さんの事だし」

「っ!そ、そうなんですね…ちなみにどんな話を?」

「ん?まぁ、何をして可愛かったとか、何とかを一緒にやったとか、そういうのかな」

「あ、良かった…(お風呂の話とかはしてないみたいですね…。)」

「ん?お風呂って?」

「な、なんでもないですよ!」


 小声で言った事を三咲に聞かれてしまい慌てて否定する琴葉。しかし、それでは何かあったと言っているようなものだ。


「ふーん。はるー!お風呂って何?」

「お風呂?一緒に入ってること?それがどうしたの?」

「は、遥先輩!何で言っちゃうんですか!?」

「えっ?ダメだった?」

「ふふふ…ごめんごめん。柊さんが慌てて隠すから気になっただけだよ」

「あ、そうなんだ。琴葉ちゃんごめんね?」

「い、いえ…大丈夫です」

「よし!それじゃあお待たせしました!お鍋食べよ〜!」


 炬燵の真ん中に鍋を持ってきた遥。

 取り皿などを用意し、自然な流れで琴葉の横に座った。


「…………わざとやってる?」

「えっ?何が?」

「いや…なんでもない。鍋食べよ」

「ん?まぁいっか。琴葉ちゃん取ってあげるね!」

「ありがとうございます先輩」

「みーちゃんも、はい!」

「ん、ありがと」

「それじゃあ、いただきまーす!」

「「いただきます!」」


 そうして、他愛もない会話をしつつ三人は鍋をつつくのだった。

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