第28話
帰りのホームルームも終わり早々に荷物を纏めた遥は、挨拶もそこそこにダッシュで琴葉の教室へ向かっていた。
廊下を走れば怒られてしまうのでダッシュなのは気持ちだけだが。
(急がないと!琴葉ちゃんと何処で落ち合うとかも約束してないし!)
若干の早足で琴葉のクラスへ向かい、開いていた教室後方のドアから中の様子を伺う。
そこにはクラスメイトに囲まれお喋りをしている琴葉が居た。
(間に合ったみたいだね!)
「琴葉ちゃん!」
「えっ!?先輩!?きゃっ!」
「えへへ〜来ちゃった!」
「すみません!先輩!」
「大丈夫だよ〜私が勝手に来たんだし!」
突然やって来て抱き着いた遥に驚きつつもイチャイチャしだす。当然琴葉と喋っていた生徒達は固まってしまう。
視線を感じた遥が顔を上げると驚いた表情で固まる琴葉のクラスメイト。
「あっ、ごめんね!みんな!」
「だ、大丈夫ですよ!琴葉ちゃんの珍しい顔も見れましたし!」
「っ!!!」
「それに昼休みに聞いた噂ってホントだったんですね!」
「噂って?」
「お二人が付き合ってるって噂です!」
「えっ!ホントに!?」
「はい、多分みんなその噂知ってますよ」
似たような事をその場に居たほぼ全員に言われ、驚きを隠せない遥。
「な、なんでだろ…やっぱり琴葉ちゃんが可愛いからかな…」
「かわっ!!それなら先輩の方が可愛いですよ!」
「えっ!?私!?私なんか全然可愛くないよ!」
またしても周囲を置いてけぼりにしてイチャイチャする二人。自分達の状況を忘れてイチャイチャが加速していく。
いよいよキスをしそうになってようやく学校にいる事を思い出した二人は揃って顔を赤くした。
「こ、琴葉ちゃん…そ、そろそろ帰ろうか…」
「そ、そうですね…。では、さようなら」
恥ずかしさが限界に達した二人はそそくさと逃げるように帰って行った。
残された人達は突然繰り広げられた糖度の高いやり取りにお砂糖を吐きそうになっていた。
ある者はブラックコーヒーがM○Xコーヒーになったと言い、またある者はカカオ85%のチョコレートがミルクチョコレートになったと言った。
「ふー、恥ずかしかったぁ」
「そうですね!場所は気を付けないとダメですね…」
「ふふふっ!」
「どうしたんですか?先輩」
「いやね?みんなにバレちゃったなーって!」
「あっ、そう…ですね」
「まぁ、いっか!そうだ!コンビニ寄って帰ろ!」
「はい!何か買うんですか?」
「うん!肉まん半分こしよ!」
「いいですね!」
手を繋いだ二人は寄り道をしながら同じ家へと帰っていった。
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